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グッドスクールを探そう[01]

☆6月25日、学明舎(青葉台校)で開催された中学入試セミナーで話したことのダイジェスト(あるいは補説)を何回かに分けて紹介する。まずは、なぜグッドスクールを探すのか?について。

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☆すでに1989年のベルリンの壁崩壊や天安門事件のころから、始まっているが、エジプト革命や3・11で明らかになったことは、国家が国民を守る時代から個人が世界や社会を改善すべく動かす時代へと移っている。

☆しかし、2012年はまだまだ国家の威信をかけた動きもあり、一方で個人の国家を超える動きがある。サンデル教授の注目度がこのところ高かったのは、その際、国家としての正義と個人としての正義がぶつかるからであり、その葛藤は、善であれ悪であれ、基準を何に設定するか衝突するわけである。

☆その衝突は、秩序の混乱がおこるというよりも、その無秩序の収拾を先延ばしにするから、個人としてどのように対応するか、サバイバルのための知力をどのように身につけるかが重要になってきている。

☆その知力の持ち主集団を、クリエイティブ・クラスと呼ぶが、欧米では30から40%の勢力になりつつある。日本では、クリエイティブな人材は山ほどいるが、国家や企業に保護されている(生産手段をはく奪されている)ので、全貌が見えていない。

☆しかし、その庇護する国家や企業が機能不全に陥るかもしれない。再びリーマンショック同様の経済事態が生まれるとも言われているから、要注意だ。そのときは個人の力が有効になる。

☆ジャレッド・コーエンの動きはそういう経済暴力的クラッシュを回避しようという動きであろう。そして、氏のようなクリエイティブクラスの人材がポイントなのである。

☆日本の場合は、そのような人材を育成する教育拠点は、私立中高一貫校しかないのである。思春期という時代に、社会や世界の痛みと自らの脱慣習成長を重ねられるのは、私立学校の教育だけなのである。

☆アントレプレナーなど、公立学校では養成できるプログラムがない。学習指導要領に国家や企業から脱してキャリアを切り開こうというプログラムがあるのならば見せて欲しい。大学も就職が前提であり、起業はマイナーである。

☆しかし、2012年以降は、そのような進路先である国家(官僚)や大企業がもしかしたら危うい。危機説を提唱しているのではない。おそかれはやかれ、民主的でない日本の官僚や大企業は、エジプト革命と同構造の変革の波に、またまた黒船によるのかどうかわからないが、襲われるだろう。

☆その方向を示唆しているのが3・11である。電力であれエネルギーであれ、保証であれ、個人が自分の力で出来る範囲のことはやらねばならない時代。その結果、省エネになり自然に負荷をかけない、他者に負荷をかけない、社会が到来する。

☆脱負荷社会の到来である。脱負荷社会は、誰かリーダーが牽引するのではない社会である。普通の個人が批判的思考と判断力を持って社会を形成していく。

☆ただ、現実的にはそのような人材が生まれる可能性の高いのは私立学校であり、そうでない国民を導くリーダー役を一時期やらねばならないということになるだろう。

☆八雲学園がケイトスクールと姉妹校になっていること、麻布が私学の系譜を維持しようとしていること、開成が官僚の内部から正義を貫徹しようと試みていること、武蔵が自調自考の精神を標榜していること、JGが毎朝礼拝でコミュニケーションしていること、かえつ有明がサイエンス科というオリジナルの思考力養成プログラムを作っていること、広尾学園が学内インタナショナルスクールさながらのコースをつくり、大橋学園長が校長講話で哲学の問いかけをすること、聖学院があらゆる授業で科学的に真理を正義を考えるコミュニケーション活動をしていること、海城学園が活動を知の拠点としていること、等々力がノブレス・オブリージュをビジョンとしていることなどは、すべて国家>個人から国家<個人の時代への先取りである。

☆もちろん、横井小楠やカント、クーデンホーフ・カレルギーなどが考案してた友愛革命や世界共和国が成就しているわけではないから、国家そのものがなくなるというアナーキーな思想は現実的ではない。それとは全く別路線の解決策を考えているクリエイティブクラスの1人が、Think/do tankの発想のジャレッド・コーエンである。

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