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自由学園 未来の学校の1つの形

☆今春の生徒募集において、自由学園は静かなブームだった。中学入試全般は勢いがなかったし、偏差値で生徒が集まる集まらないというまことしやかな話題も大勢となった。

☆しかし、そんな世の趨勢を覆すかのように、自由学園の男子部も女子部も出願数は増えた。特に、男子部は昨年24人だったのが40人と166%増だった。

☆また大学卒業生の就職内定率60%時代に、自由学園最高学部生の就職内定率は92%。

☆何が起こっているのだろう?

☆自由学園は昨年90周年を迎えた。「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」という理念を実践してきたのだが、この理念は、特に3・11以降のパラダイム転換によって、ますます輝きをますものである。

☆広大なキャンパスは、自然の広がる空間だし、そこに建てられた建築はフランク・ロイド・ライトの影響を受けているし、アートはバウハウスの影響を受けているし、体操は、内村鑑三も賞賛したデンマークに影響を受けている。

☆20世紀前半の輝かしきデモクラシーと近代思想、科学の最先端の影響を受容している学校である。

☆そして、それが今も輝きを失わない本物教育として成っているのである。そこに気づく受験生や保護者がまだまだ存在しているということだろうか。そうであったなら日本は希望を失わないでいることができるのではないか。

☆20世紀前半の近代の思想や科学の発想を保守するということは、基本的にはユークリッドやニュートンの世界とカントの世界を守るということでもある。

☆しかしながら、日本の官僚近代は、実はこの両者を換骨奪胎している。ともすれば、スタートラインが同じであるから、偏差値や進学実績というスコアで評価される対象として包摂される恐れがある。

☆そのような誤解が生まれないように、知のシェルターを作っているのだと思う。このパラドクスは何も新しいものではない。本物教育を邁進する学校ならば、必ずぶつかる矛盾でもある。

☆それゆえ、この知のシェルターをつくり、来るべきときの知の人材育成を着々と行っていく姿は、未来の学校の1つの形ではある。

☆しかし、カントなどはルソーの解釈の1つのあり方で、それ以降様々なルソー解釈が近代の多様性を形作ってきた。ポストモダニズムもそうである。

☆だとするならば、自由学園も独自のルソー解釈があってもよい。ロールズ、ローティ、サンデル教授のように・・・。

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