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共立女子の教育の重要な理由[01]

☆今春、共立女子から東大2名が合格した。昨年は京大が2名。芸大も毎年合格しているが、今年は4名。この数字からすぐにわかることは、共立女子は、東大に合格させることをまったく目的にしていない学校であるということ。

☆生徒が東大に進んで研究したいと思えば、サポートをするだけである。とにかく行事が多い学校であるから、生徒一人ひとりの個性や才能が多様に開花する。だから、芸術の才能が開花したら、芸大への道も開ける。

☆大事なことは大学実績ではない。生徒一人ひとりの才能の開花である。世の中が偏差値や大学合格実績にこだわっていても、そんなことには右顧左眄せず教育の本質を貫いてきたし、これからも貫くのが共立女子である。

☆その教育の本質とはどこに根ざしているのだろうか?このこたえを求めていくと、共立女子の教育がいかに重要であるのかが見えてくる。まずは、渡辺校長のエッセイ(PTA広報誌「沈丁花」2011.6.24)を紹介しよう。共立女子の教育の根っこがどこにあるのかわかるヒントになる。

「天然の無常観」

 そこはかとなく、忍び寄る無常観とでも言うのでしょうか。今回の大震災は、それまで何とはなしに日常を過ごしている我々にとって、決定的な転換点となったのではないでしょうか。

 地震が精神に与えた影響はヨーロッパにも見られます。18世紀中ごろにヨーロッパとアフリカの最西端で巨大な地震(リスボン地震)が発生しました。大航海時代からの繁栄を受け継いできたポルトガルの首都リスボンが被害の中心になりました。

 これはヨーロッパ世界にとって、かつて経験したことのない甚大な震災であり、ヴォルテール、ルソーなど当時の啓蒙思想家やカントなどの哲学者に大きな影響を与えました。

 敬虔なカトリック国家が被災したことは、一神教からの「予定説」や「世界のすべては神の意志に委ねられる」との説明が難しいものでありました。ヴォルテールは『カンディード』で、楽観論を批判し、ルソーはこれを自然な生活様式を求める原因としました。カントの出版した本は地震学の嚆矢(こうし)とされます。

 地球物理学者で「天災は忘れたころにやってくる」の名言で知られる寺田寅彦は、日本人は「天然の無常観」が備わっているといいます。幾度となく自然からの猛威にさらされてきた歴史が、おのずからそうした国民性を育ててきたのかもしれません。

 しかし、それは絶望的なあきらめではなく、兼好法師の言うことと共通するところがあります。兼好は死を意識して生きることで人生を豊かにとらえようとし、「死があるからこそ、妙味がある」と言っています。

 無常を肯定的にとらえ、はかなきことや悲しきことを乗り越えて、生きる力にするという日本人の国民性がここに見られます。

☆このエッセイは、たんなる渡辺校長の見識をあらわしているだけではなく、共立女子の歴史的遺伝子から生まれてきている文章なのである。それは、同校の校訓の1つ「友愛」にも関係している。

☆「友愛」といえば、鳩山前首相のキーワードであるが、その「友愛」と共立女子の校訓である「友愛」は、もちろんつながるのである。むしろ、共立女子の「友愛」が、鳩山前首相の思想を形づくったと言っても過言ではないだろう。

☆3.11の震災そして原発事故が、歴史的転換点を生み出すというときに、鳩山前首相以前の共立女子の「友愛」の意味が再び重要な役割を果たすのである。(つづく)

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