ブロガー柴田副校長やはり健在か?
☆柴田副校長(白梅学園清修)のブログ第二弾がアップされた。その名も「2011英国緑浄春深その2」。
☆文化人類学者で構造主義をひっさげて、現代思想の世界に影響を与えたレヴィ=ストロースの思想をメタファに、日本の教育に鋭く切り込んでいるではないか。
☆中2の清修生は、そろそろ思春期を迎え、内なるカオスを体験しだす。このカオスをいかにコスモスとして転換するか、重要な教育の時期である。その時期になぜイギリスに研修旅行をしにきているのか、その意義について語っている。
☆内なるカオスは個人的欲求だとするならば、それは間違いである。ところが大概日本では、そうみなされ抑圧される。したがって、カオスを解決しないまま臭いものにはふたを式ですました表情あるいは目の輝きのない笑顔の仮面をはめられるのである。
☆だから、社会に出てちょとした人間関係で、その仮面がはがれたとき、そこにカオスが沸々としているのを見て驚いてしまう。それとの対決を避けてきたために、どのように対応してよいのかわからない。カオスをコスモスに転換するタフな信念はどこにもない。
☆カオスは善悪の彼岸のエネルギー態であるから、放っておけば何がおこるかわからない。まったく3・11以降の原発事故そのものの事態なのである。
☆だから、柴田副校長は、心を鬼にして、中2の段階で英国研修を実施する。内なるカオスよりもよほどすごい衝撃を受けてくるのが海外での生活体験である。何をするにも自分のルールは通じない。水いっぱい飲むことができないかもしれない。そんなとき、どうやってカオス状態をコスモスに転換できるのだろうか。
☆清修のチームメンバーであり、師であり、ホストファミリーであり、一期一会の外国人である。困っているときに、他者が働きかけてくれる瞬間、これほどありがたいと実感する体験もないだろう。外国で暮らす友人たちが、出会いを大切にしているのはそういうことだ。
☆働きかけられるばかりではなく、働きかけるのである。世界の人々が、今回の大震災で被災した方々に何かできないかと働きかけたのは、カオスをコスモスに転換しようという意志だろう。
☆そういう働きかけや意志を持つこと、つまり理念を大切にする私学人的発想を、体当たりで感じてほしいというのが白梅学園清修の中2の英国研修の大きな意義だろう。
☆そんな思いを持っているだけではなく、毎年英国研修に同行し、実際に見守っている柴田副校長の姿に、保護者が感動しないわけがない。しかし、この思いは若い先生方にも伝えていかねばならないのが柴田先生のもう一つの仕事である。柴田先生が同行しなくなったとき、それが成就するというのだろうか。
☆しかし、この精神、つまり私学人的精神の継承は、白梅学園に限らず、どこも難しいだろう。レヴィ=ストロースのメタファは、同時にJ.J.ルソーの精神にも通じるが、彼は孤独な思索家だった。ニーチェのツァラトゥストラにも通じるが、かの超人も弟子をとらない主義だった。
☆私学人の発想の継承は、どうやら脱技術のようにマニュアル思考で伝わるようなものではないようだ。自らカオスを体験し自らコスモス化する体験をつむしかないようだ。なんて合理的ではないのだろう。しかし、この自らたち臨む以外に、カオスというルサンチマンに立ち向かうことはできない。柴田副校長の孤独は、避けられぬ道なのである。
☆孤独を知るものこそ、他者との絆を大切にできるのかもしれない。さびしさや不安はカオスを生み出すが、それを紛らすメディア的なイベントに惑わされずに、自ら立ち迎えるようにサポートしているのが柴田副校長の姿であり、それが私学人の真骨頂なのである。
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