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スクールガーディアンのおもしろい活躍

ガイアックス(GaiaX)というちょっとトガッタ会社がある。ソーシャルメディアをサポートしたり、Webソリューションを企画提案するクリエイティブな集団。その中のサービスの1つを提供する部隊に、これまたおもしろいプロジェクトチームがある。スクールガーディアンがそれだ。

☆お世話になっている私立学校も多いだろうが、掲示板監視のプロフェッショナルチームで、学校裏サイトの検索・監視を行い、学校生活上の課題となっているインターネットでの個人情報流出やネットいじめへの対策について学校関係者をトータルにサポートするコンサルティングを行っている。

☆このチームのプロジェクトリーダーのKurataさんのことは、知っている人も多いかもしれない―あっちこっちの教育関係の場で講演されているし、メディアでもよく取り上げられている―が、とても啓発的で未来志向でポジティブシンキングの持ち主で、未来の教育の扉が音をたてて開きそうな感じ。

☆最近開催しているワークショップは、

「震災から考える、携帯の扱いとソーシャルメディア」勉強会

「学生が教えるネットリテラシー講座」

☆この記事を読んで、今までは教育のクオリティの高い一部の私立学校で行われていた教育実践が、私立のみならず公立の学校にも広がるのではという感覚を抱いた。

☆ほとんどの学校で、子どもたちの道徳意識は、外部の規範に強制され、逸脱するとペナルティをうける規律統治型の段階。この段階が次のステップに進まずにそのまま大人になってしまうものだから、ポストモダニズムの風潮に、タガが外れ、とんでもないことになってしまう。

☆その前兆が、ネットにおける犯罪。リアルな学内や家庭では、規律統治型のペナルティがしっかりしているが、サイバースペースであるネットの中では、フェア、フリー、フラットという光の部分を逆手にとっても、すぐには規律統治の手がのびず、したい放題ということに・・・。

☆そこで、スクールガーディアンの発動ということになるのだが、3・11以降の今回のワークショップによって、学校側が、規律統治型のモラルジレンマに気づいたのである。

☆規律統治型は、たしかにモラルを養おうとする道徳教育なのだが、ときに厳しいペナルティを与えることは、決して道徳的教育ではないのである。これはパラドキシカルだ。

☆ゆえに、規律統治型から自律型にシフトしなければならないと。それには、携帯を禁止したり、twitterやFaceBookの環境を遠ざけたりすることではなく、それらをどのよに活用することが、社会にとって有益なのか、内生的な道徳発達のステージにシフトしなければならないということを実感したはずだ。

☆もちろん、そのきっかけは3・11なのだが、その気づきを促進したのは、スクールガーディアンの力でもある。

☆ピアジェやコールバーグといった認知心理学的な立場からすると、前慣習段階から慣習段階にシフトしたということになる。この段階で、やっと民主的な教育の雰囲気ができるのであるが、エッ!今まではというと、実に民主的な教育の鋳型をはめていたに過ぎず、その鋳型から解放されたとき、必ずしも道徳意識が作動するかどうかは誰も保証できなかった。

☆だから、学校の先生は、いつまでたっても生徒のことが心配なのである。ある女子校で先輩がアドバイスしにきたり、教育実習にやってきたりしたときに、彼女に任せられるかどうか心配ですという先生の言動に驚いたことがあるが、レアケースではなさそうだ。

☆さて、鴎友のようにエリクソンでもよかったし、かえつ有明のようにブルームでもよかったのだが、ピアジェとコールバーグを引用したのは、知と道徳意識の相関を考えるヒントになるし、ハーバーマスがコールバーグを批判し、知と道徳意識の発達をコミュニケーション行為の発達としてアレンジしているので、教育を考える上で、トータルな枠組みとして利用できるからである。

☆前慣習段階では、子どもは、自分の行為を他者からの規律によって道徳的にコントロールされているわけであるが、この段階の知の作用と言えば、与えられた知識を暗記させられ、それを正確に大量に覚えることができた子どもが報償を得るのである。罰則ではないが、自分の満足ではなく、他者によって満足させられるという点では同構造である。

☆身体で暗記していくのだから、ますます報償と罰則による知と道徳の育成段階である。自ら自らを励まし、自ら規律に従う慣習段階にシフトしないまま、解放されたとしたら、どうなるか?それは昨今の事件を想起すればすぐにわかることだと思う。

☆そして、明治維新以降、戦後も、日本の教育も、企業も、政府も、官僚もずっと前慣習段階であったと思うと、ゾッとする。3・11以降、政府、官僚の答弁を聞いていると、そのことがよくわかるだろう。

☆しかし、グローバル企業やガイアックスのようなICT関連企業、私立学校の中でもグッドスクールは、1989年のベルリンの壁が崩壊してから、一気呵成に前慣習段階から慣習段階にシフトした。

☆だから、スクールガーディアンが、前慣習段階の学校に刺激を与え、次のステージにシフトするトリガーになったのである。

☆ボランティアで学生がチュータになっているが、前慣習段階の学校では、まず導入しないだろう。コラボが成り立つというのは、その学校が慣習段階にシフトしようと決断したか、すでにシフトしているかどちらかである。

☆学校選択には、少なくとも前慣習段階を超えているということも重要な視点になるということでもある。少なくともといったのは、慣習段階の次のステージである脱慣習段階もあるからである。この段階の学校は、私立学校の中にしかない。大学は皆無に等しい。

☆この状況が、ドメスティックな雰囲気を醸し出している。もちろん、国内にいては、この雰囲気はわからない。帰国生がクレイムをあげるのはそういう理由なのだ。スクールガーディアンの挑戦はまだまだ続きそうである。

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