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「かながわ元気な学校ネットワーク推進会議」の意味するコト

☆カナロコ 8月13日(土)4時0分配信 によると、

いじめ、暴力、不登校など従来行ってきた個別対策を再構築し、県内すべての学校や地域で子どもの笑顔があふれることを目指す「かながわ元気な学校ネットワーク推進会議」が発足し12日、第1回会議を横浜市神奈川区のかながわ県民センターで開いた。

2010年度の文部科学省調査で、県内の小中高のいじめ解決率は63・6%で全国ワースト2。千人当たりの暴力発生件数は8件(全国平均4・4件)、同不登校は14人(同11・5人)。


 

☆同推進会議は、次の3つのプロジェクトを推進する。

(1)魅力ある学校づくり(コミュニケーション能力、学力定着など)

(2)いのち守り合う関係機関との連携(家庭環境、発達課題など)

(3)支え合う地域との協働(規範意識、社会性)

☆県教育委員会の藤井良一教育長は「知る・関心を持つ・行動する母体として働いてほしい。教師を支え、子どもたちの笑顔と元気の結果として、いじめ、暴力、不登校が減少することを期待したい」と語ったというが、ことは神奈川県のことだけではない。県民にわかりやすくという条件があるから、このような身近な目標の表現になっているが、実に本質的なコンセプトである。

☆というのも、3つのプロジェクトは、より高次のレベルでは、学校の組織をコミュニケーションをベースに構築しなおすということを示唆しているし、思春期の成長について影響を与える家庭やシンクタンクとの関係ネットワークを構築していくということも意味しているし、道徳の発達を研究しているシンクタンクとも構築していくということも指しているからである。

☆これらはまた、従来の学校や教育は、コミュニケーション、成長、道徳の発達などについて十分に認識していなかったということでもある。しかし、認識しなくてもやってこれたのである。道徳や規範、ルールを教育を与える側が考え、それを子供に強制し、それを守らなければ、物理的暴力はともかく、言動による、つまり象徴的な暴力表現(たとえば、パワハラ)で、ペナルティを与えて、なんとかなってきたのである。

☆コールバーグの道徳発達理論で言えば、前慣習段階にあったわけだ。しかし、89年のベルリンの壁が崩壊し、その意味するところは、物理的強制ばかりではなく、象徴的暴力からの解放であった。フリー、フラット、フェアーという3つのFの潮流は、学校教育においては、3Rから3Xへとシフトした。

☆一方、日本の教育はと言えば、依然として、前慣習段階で、3Fや3Xのシフトを考えてこなかった。しかし、イギリスの若者による暴動、エジプト革命、中国高速鉄道事件への大抗議など、3Fや3Xを市民一人ひとりが使えるモバイルやソーシャルメディアが促進している今日、日本でも生徒の側から学校組織に変更を求める動きが出てきてもよいはずである。

☆それが世界のメディアを騒然とさせている、暴動やデモ抗議という表現ではなく、いじめや不登校という表現であらわれているのが、日本の教育現場かもしれない。

☆同推進会議があわてたデータは、「平成22年児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」であるが、果たして問題行動等生徒という表現でよいのだろうか。

☆問題行動を起こさせている社会背景のリフレクションは必要ないのだろうか?必要ないという回答がかえってくるはずはにだろうが、現状を善として、それを基準に問題行動等生徒だと判断していることは確かだろうから、教育行政のやり方は、前慣習段階にあるといわざるを得ないかもしれない。

☆このように、「かながわ元気な学校ネットワーク推進会議」が喫緊の課題としてとりくもうとしている問題は、神奈川エリアだけの問題ではなく、まだまだ前慣習段階(象徴的暴力組織)のエリア全体の問題でもある。

☆同調査の中に都道府県別のいじめの状況のデータが掲載されている。それをもとに、次の表のを制作した。"いじめ件数少ない順" "いじめ件数多い順" "いじめ解消率高い" "いじめ解消率低い順"でランキングをつくり、いじめ件数少ない順べスト15を〇、いじめ件数多い順ベスト15を×、いじめ解消率高い順ランキング15を〇、いじめ解消率低い順ベスト15を×で表記し、それを予防と解消の項目で整理した。




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☆予防と解消の両項目〇のエリアを慣習段階、どちらかが〇か△、あるいは両方とも△のエリアは、過渡段階どちらかに×がはいっているエリアは、前慣習段階とした。

☆もちろん、慣習段階といっても、あくまで相対的で、自覚しているかどうかはわからない。ただ、教育行政側が一方的にルールを押し付け、予防もルール通り行っていて、効果があがるというのは、ファシズムの時代ではないから、考えにくいことも確かだろう。

☆表を一瞥すると、いわゆる大都市が前慣習段階のリストに入っている。大量消費、大量生産、大量移動のポストモダニズムの風が吹いているところは、教育行政は意外にも、そのような社会的潮流の負の側面を抑えるために、前慣習段階を強化せざるを得ないのだろうか。だから、思春期を守り抜く教育を行っている私立学校の数も必然的に大都市部に集中するのだろうか。

☆いずれにしても、長崎、大分、静岡、神奈川の教育委員会は、コールバーグの道徳の発達理論を参考にコラボして、政策を講じなければならないだろう。

コールバーグについては、麗澤に学べばよいし。モラロジー研究所には、コールバーグも訪れて講演をしているぐらいだ。

P.S. 

コールバーグについては、「横浜市企画局政策部調査課」により編集・発行された「調査季報」140(1999年12月)で、少し触れている。私立学校に学んでくれるとよかったのに・・・。

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