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「難関大合格力がつく中高一貫校」サンデー毎日8・14

☆サンデー毎日(2011.8.14)は、例によって「難関大合格力がつく中高一貫校」の量的結果を掲載。偏差値レンジ別に中高一貫校の難関大学合格実績をリスト化している。

☆偏差値に関係なく、難関大学に合格する力を伸ばす学校はどこであるかという視点と上位校の合格力のすさまじさの両方を表現しているから、一見公平ではあるが、偏差値が違ったとしても東大に100人単位でいれるという例でもない限り、やはり偏差値と難関大学合格力実績には相関があるという理解が広まるのは当然であり、これが中学受験の大衆化の到達した姿である。

☆しかし、実際に問題なのは、相変わらず変わらない従来型の知識偏重入試、それを通過したあとのこれまた偏差値による就活の壁というおよそ世界に通じない人材育成システムの悪循環に中学受験の大衆化が加担しているということをマスメディアがきちんと表明しないことである。

☆たとえば、同誌では、加藤学園暁秀が偏差値39以下で、東大4人京大1人合格させているのは、海外大学に進学者を出しているほど語学教育に力を入れている学校であると評しているが、間違いではないが、妥当な説明ではない。

☆同学園の教育は語学教育ではなく、IB(インターナショナルバカロレア)ベースのグローバルスタンダードな教育なのである。語学教育はドメスティックスタンダードでも力を入れられるから、この点についてきちんと説明をしなければならないだろう。

☆したがって、偏差値が低くても大学合格実績が良い学校というのは、ドメスティックスタンダード教育の結果なのか、グローバルスタンダード教育の結果なのかについて考えていかねばならない。わかりやすいので、次の図を紹介する。これは文科省などが主導している「グローバル人材育成推進室」が公表しているもでのあるが、ドメスティックスタンダードによる人材育成の悪循環からグローバルスタンダードによる人材育成の好循環へシフトしようというコンセプトの図である。

Globalresource

☆悪循環の教育のベースは、知識データベース暗記ありきのダウンローディングとマッチングの教育である。しかし、これからの好循環型教育は、知識DBは、記憶しておく必要がない。クラウドDBから引き出せればよいのである。

☆大学受験を控えている帰国生とときどきワークショップを行うが、彼らにはiPhoneを活用しながら、思考を組み立ててよいということにしている。重要なことは知識間の差異をどう構築するかであり、自分の強烈な海外体験を社会や世界の問題に結び付けて公共的に議論できるようになるかであるとしている。

☆彼らをドメスティックスタンダードで視れば、知識がないから大学でついていけないのではないかということになる。実際上から目線でそのように語る教育関係者もたくさんいる。

☆知識DBの不足は、いくらでもサポートしてあげればよいではないか。大事なことは思考力である。想像力である。

☆悪循環を突破する合格力もたしかに必要であるが、好循環を想定して未来を先取りしている教育力も公平に視る論調に今後は期待したい。

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