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白梅清修 完成年度を迎えて

☆今月1日、白梅学園清修中高一貫部は、塾対象説明会を開催。今春中高一貫部専任の田村校長が就任し、中1から高3まで全学年そろい、完成年度を迎えた。

☆昨年までは、理念と在校生の学園生活の様子が中心に語られていたが、今回は6年間の教育の実績や成果、そして来春の一期生の進路の見通しが披露された。

☆教育に関しては、開設当初から教科連動型あるいは学際的な教養を養う、状況に埋め込まれた学習や文脈学習(知識を詰め込むのではなく、知識の背景文脈や知識どうしの関連を大事にする)という理論に基づいた授業や研修を定着させたようだ。

☆こうした認知発達だけではなく、リーダーシップやコミュニケーション行為をベースにした人間関係づくりという道徳的な側面の発達のケアシステムもできたようだ。

☆それゆえ、田村校長は、英国研修とEU研修の理念について、こう語る。

自分を知るには、家庭、地域、学校、日本そして世界の中の自分の位置という横軸と、日本にとどまらず世界の歴史という縦軸の中で考えてほしいと思います。

☆そしてこの心の座標軸を形成することによって、

なにげなく口にするパン1枚、これに関わっている人はどれくらいいるのでしょうか。小麦生産国の農場、買い付ける商社、陸上・海上運送、製粉会社、製パン会社、販売店、その他気の遠くなるような人数の人たちが関与しています。この人たちのお蔭で私たちの生活は成り立っているのですが、今ではあまりにも安易に食物、身に着ける物、情報、移動手段や娯楽等が入手できるので、すべてを当然と思い、この“お蔭”を忘れているように思います。清修の教育理念の「気品」と「フロンティア精神」のうち、「フロンティア精神」は、自分の能力を最も発揮できる分野を探し、そこで社会の一翼を担い、“お蔭”への恩返しをしていくという積極性を意味しています。

☆というように、清修理念を認知と道徳の統合的な発達として展開していくことになる。そのような教育が6年間でできたということを表明した説明会であったわけである。

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☆そして、その結果どのような大学進学実績が出るのか、その見通しも公表された。1期生は50名強であるが、その見通しは次の通り。

国公立3名

早慶上理 2名

GMARCH 10名

成成明学独國武 5名

日東駒専 10名

大東亜帝国 5名

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☆脱偏差値の学校が、このような表現をするようになったということは、かなり現実的になったということも意味している。サバイバルするということはこういうことである。

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☆ただし、この現実を受け入れたとき、理念が空洞化するときもある。同時期に開設した宝仙理数インターやかえつ有明、幾つかの都立中高一貫校。時同じくして完全6か年一貫に移行した共立女子。いずれも高い理念を掲げてきたわけであるが、ここから先が大事なポイントである。共立女子は、すでに高い理念を再構築しつつ、大学進学実績も伸ばしている。もともと伝統があるからということだろうが。

☆ともあれ、理念と現実を統合させられるのか、現実路線一本になるのか?それを占うのは、入試問題である。さて来春、清修はどんな骨太な入試問題を作成してくるのか。若い先生方が、6年間でどのくらい成長したのか期待している。

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