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海城 豊島岡 渋幕のサイトの違い

読売GENKI新聞の教育座談会についての記事で、海城、豊島岡、渋幕の質差があることを語ったが、それはあくまで編集者の目を通しての質差にすぎない。

☆それで、気になって、三校のサイトを開いてみた。

☆すると、本当によく三校の特徴の違いがわかるものであると改めて納得。

☆デザイン性がどうのというのは、そういうセンスがないからわからないが、コンテンツが違うとでも言っておこうか。

☆よく、コンテンツなんかどうでもよいのだ。わかりやすいデザインが重要だと、言われるが、本当だろうか?それは同じ商品を販売する際には言えるだろうが、三校の教育は全く違うわけだから、そこを見ないで、デザインのよさで学校選択するとは考えにくい。

☆ともあれ、教育の基本情報は、三校とも発信されている。パンフレットや資料と同程度のものだと思う。

☆その部分は、更新はほとんどしないわけだから、違いは更新の高いページということになる。

☆つまり、ブログ的なページである。

海城プレス

学校の様子(豊島岡)

えんじゅ(渋幕)

☆海城のプレスは、教師の思考力・創造力・表現力が彷彿としている。海城の教育の質の一端が見え隠れしている。

☆豊島岡の「学校の様子」は、事実がよくわかる。生徒の明るい活発な様子が写真によってわかる。しかし、事実の背景には、涙ぐましい苦悩や葛藤があり、それが成長のエネルギーになるが、一方で不安もある。そこはもちろん表現されていない。

☆渋幕の「えんじゅ」には、豊島岡と同様の部分もあるが、圧巻なのは校長講話。分厚い教養の宝庫。しかし、それは時宜にかなった知識の陳列ではあるが、未来を拓くクリティカルシンキングがなされているわけではない。校長という立場から、そこは避けているのは当然である。

☆どの表現の仕方が優れているのか、それはひとぞれぞれが判断するべきものあるから、どうでもよいが、OECD/PISAの思考のレベルという世界標準のモノサシをあてると、よいかわるいかではなく、どこまでの思考のレベルを、ふだんから生徒とともに歩んで行っているのかはわかる。

レベル1 情報・事実の確認

レベル2 情報・事実の整理整頓

レベル3 情報・事実の差異の発見

レベル4 論理的思考

レベル5 批判的思考

レベル6 創造的思考

☆コールバーグの道徳と認知の発達段階に置き換えると、

前慣習的段階

レベル1

レベル2

慣習的段階

レベル3

レベル4

脱慣習的段階

レベル5

レベル6

☆東大をはじめとする多くの大学入試はレベル4までで充分。慶応SFCはレベル6まで必要。ハーバード、スタンフォードなど海外の大学は、レベル5まで必要。

☆OECD/PISAでは、日本の15歳の生徒は、レベル3いやレベル2までは非常に優秀だが、レベル4以上では韓国やフィンランドなどに比べると弱い。

☆麻布、桜蔭の中学入試問題は、レベル6まで必要。開成、武蔵はレベル5まで。雙葉、女子学院はれべる4まで。

☆レベルというのは、難しさではない。思考の構造の複雑さである。難しさと相関はあるが、ブルーナーではないが、科学の最前線を初等中等教育で学ぶことは、その最前線の思考の構造を解明することによって可能である。

☆もちろん、海城学園の入試問題は、レベル6まで必要。いわゆる偏差値で同レベルの駒場東邦、桐朋、巣鴨などは、レベル3までで十分だろう。なかにはレベル4の問題もあるが、合否にはそれほど響かない。

☆それでも入試問題は難しいではないかと言われるだろうが、先述したように、思考のレベルと難度は必ずしも相関しない。レベル1の情報の確認の問題でも、つまり国語の長文問題の書き抜き問題でも、難しい場合があるのは了解いただけるだろう。

☆もっとも差異の発見ができるということは、ものすごい才能があるということは断っておきたい。すべては差異に気づけるかである。それをどのように論理的に裏付け、批判的に検討し、新たな技術や政策を創造するかは、中高一貫の6年間でおこなえばよい。

☆あのラディカルなローティでさえ、創造的な思考のトレーニングは、大学からで、高校まではレベル5までしっかりとということらしい。

☆しかし、ローティの時代と大きく違うことは、産業がクリエイティブ・クラスの時代にシフトしているということである。

☆グローバリゼーションに翻弄されずに、世界に貢献しつつ自分の才能を発揮していける能力を身につけられる学校選択の時代であるということか。

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