« かえつ有明 静かな情熱 (1) | トップページ | かえつ有明 静かな情熱 (了) »

かえつ有明 静かな情熱 (2)

☆今回の説明会では、入試問題の出題傾向・対策についての説明がトピックの一つであった。国語科の説明の様子についてすでにその一端をご紹介したが、他の教科主任も静かな情熱を秘めながら語った。

☆外国語科の久保先生は、アドバンスコースの試験は、ケンブリッジ英検をベースにすると。これは、どういうことかというと、基本は英検の3級から準2級だが、それだけではないのだというところに重要なポイントがあったと思う。何がさらに必要なのか?それはクリティカル・シンキング(CT)の素養で、それをみる問題を出題するという。

☆すでに中学の英語の授業のテキストは、「ニュー・トレジャー」だから、かえつ有明の英語教育は、帰国生以外でもCTをベースにしている。CTというと、批判的思想という話になるかもしれないが、それは最終段階の話で、単語を覚える時にも、文法を活用するときにも、英文を読むときにも、英文を書くときにも、自己相対化できるCTという思考様式を使うのだということがかえつ有明のCTの基本的な考え方である、と思う。

☆これは、英語だけではなく、すべての教科にも通じるというのが、今回の説明会の静かな情熱が秘められたポイントだった。サイエンス科というかえつ有明の独自のプログラムは、要するに学際的な思考力を養成する教科で、異教科、異分野、異領域をリンクするには、CTが必要であると山田先生は語った。参加者の多くは、多くの私学が21世紀型教育にシフトしつつあるのに気付いているから、これがその基本的な考え方のヒントなのだと頷くシーンもあった。

☆数学科の飛騨先生も、応用問題で、創意工夫した考え方を記述する問題の出題をほのめかした。計算も分配法則の逆に気づけば、すぐに回答できるような問題も出題すると。この創意工夫こそCTの一つの適応である。

☆理科の高田先生も、グラフを読み取るときに、縦軸・横軸が何を示しているのか確認する視点から、現象の記述をする視点までの問題について言及。その視点こそCTの視点である。

☆社会科の足立先生は、環境やグラフ、データに関する問題で、サイエンス科で説明したようなCTの発想を使う問題を出題することについても語った。そういえば、7月の授業体験で、足立先生の扱った地図にGDPなどのデータが地図化されたものがあったが、あの地図を読みこむときの受験生の真剣な眼差しを思い出した。

☆豊洲の地に移転して、来春中学の一期生が飛び立とうとしている。その6年間、試行錯誤して形作ってきた多様な学びの方法論が、≪私学の系譜≫とサイエンス科に象徴される学問の基礎的で学際的ものの見方につながったのだろう。

☆そしてそのエッセンスが、高木先生が語った、今回の入試システムの多様性に結晶したということだろう。

☆教師が一丸となるということは、肩を組んで仲良くやっている外面的な姿を見せることではなく、理念とビジョンとなんといっても知性と感性をいかにシェアするかその内生的な深化にかかっている。そう感じさせられた説明会だった。

|

« かえつ有明 静かな情熱 (1) | トップページ | かえつ有明 静かな情熱 (了) »

Good School」カテゴリの記事