「第2回男女別学教育シンポジウム」 受付間近!
☆11月19日(土)、第2回男女別学教育シンポジウムが開催される。今回は、 石田浩一先生(Z会東大マスターコース数学科講師)による基調講演「性差に対応した数学の指導」が行われる。そして、パネルディスカッションで「男女の差異を意識した教科指導」が議論される。パネリストとコーディネーターは、
石田浩一先生 (Z会東大マスターコース数学科講師)
岩本秀典先生 (桐光学園中学校高等学校教諭 数学科)
澤登佳美先生 (桐光学園中学校高等学校教諭 英語科)
今井寛人先生 (國學院久我山中学高等学校教頭 数学科)
和中正太先生 (國學院久我山中学高等学校女子部長 地歴科)
コーディネーター 實吉幹夫先生 (東京女子学園中学校高等学校校長)
☆男女の差異を意識する教科指導とは、たいへん興味深い。中高一貫のシングルスクールにおける教科指導の話であるから、当然、男子女子のそれぞれの6年間での発達段階の違いが明快になるだろう。
☆このことの重要性は、一般の方々は意外や意識していない。というのも世の中学生は90%は高校入試をするから、恐ろしいことに、知性や感性の6年間の連続の成長は実は教育においてサポートされていないのである。つまり、最も重要であるはずの「思春期学」が学習指導要領にはないのだ。
☆日本の高校入試や大学入試の問題を解くのに精神的成長はほとんどいらない。知性もいらない。技術の習得でOKである。しかもその技術は、情報の確認、情報の整理、情報の論理的つぎはぎで十分である。
☆男女が平等なのではなく、このような入試システムでは、男女の差異をかえって見えなくしてしまう。だから、日本社会において男女の問題はすでに解決されていて、少子高齢化やグローバル人材の育成が喫緊の課題だということになっている。何せその課題は身近に噴出している悩ましい経済問題、格差問題を引き起こしているからである。
☆しかし、99年に男女共同参画基本法ができても、実際には男女の就職率などは、まだまだ開きがある日本社会なのである。男女の問題は、まったく解決されていないのである。この解決されていない課題を一身に引き受けているのが男女別学教育を実践している中高一貫校である。
☆東大の前総長小宮山氏は、今も各界で会長や顧問を務め、活躍しているが、日本は課題先進国であり、その解決の探求は世界に先駆けてモデルを提供することができるだろうと。
☆同じように、男女別学教育も、日本のみならず世界の課題である男女の問題を解決する課題先進校である。
☆今回は教科指導という、中等教育において生徒が最も時間を費やす授業の中で行われるている教授法や生徒の学びの過程について議論がなされるのだろう。
☆学校選択において、実はこここそ最も情報を収集しなければならないところである。一番長い時間を費やす空間であるのだから、偏差値が高いとか大学進学実績がよいとか、まったく世界でも相手にされてない基準で選択しても、授業で受験技術は高度になるが、人間として成長できないような学校であれば、当然学歴症候群に陥って終わってしまう。
☆教科指導では、最近接発達領域内のコミュニケーションが重要であるが、そのコミュニケーションとは、いうまでもなく問いかけのレベルが重要である。
☆男女によって、最近接発達領域が違い、当然問いかけのレベルの組み合わせ方、つまり問いの次元の編成が違うのである。
☆東大をはじめとする教育学部で、最近接発達領域の研究はまだまだ部分的である。ましてそこにおける男女によって違う問いの次元の編成については、研究はほとんどないのではないだろうか。
☆特に数学は、それ自体がメタ言語であり、思考は結局トートロジーであるという世界が広がり、現実とは真逆の世界が広がる。このことを女子は、利己的な遺伝子の継承というトートロジーを引き受ける使命を持っているという点で、男子にはまったく理解ができない具体的な数学世界に生きている。
☆数学とは男子にとては抽象的なメタ言語あるいは記号であるが、女子にとっては具体的なメタ言語/記号なのである。19世紀末から勢いを増した近代社会はこのアンビバレンツを解くことができず、具体的なメタ言語を論理矛盾として排除した。これは今も未解決であり、それを解くことができるのは、今や男女別学教育を実践している課題先進校のみである。
☆共学校というわかりやすい記号は、文科省の広告戦略である。わかりやすさが重要であるとは、広告代理店の戦略意外にどんな真理があるのだろうか。わかりやすさとデザイン思考とはまったく違う。ジョブス氏のデザイン思考は決してわかりやすくはない。iPhoneは説明書がない。デザインが、理解を自ら促進するように誘うからである。その過程が魅力なのである。
☆男女別学教育もパンフレットなどみても、それは共学校の戦略に合わせて広告代理店は作るのだから、真実がわかるはずがない。この戦略がついに中学受験のダイナミズムを壊滅させることになるというメタ言語を持っていないのだから仕方がないのか・・・。写真でわかりやすくなどという戦略は、スーザン・ソーンダクならば第二次世界大戦の彼を思い出し、震撼とするだろう。ただし、わかりやすさとしたたかさは違う。わかりやすさという戦略を逆手にとるしたたかさはきわめて重要である。
☆ともあれ、わかりやすさの記号の危うさを、3・11の原発事故で、私たちは痛いほど思い知ったではないか。しかし、この痛みは今始まったのではなく、日本に近代が立ちあがったときに、すでに生じたのである。そしてそのときにその痛みを引き受け、なんとか解決しようとしたのが、男女別学教育でたち臨んだ私立学校である。
☆教育は制度というマクロだけではままならない。授業というメゾを介して生徒が成長するシステムを形成しなければならない。
☆マクロ―メゾ―ミクロの関係総体が形成されていることが大事であるが、これが成り立つには、メゾにおける最近接発達領域の充実がカギである。この領域が欠落している教育行政に生徒をゆだねるのは、実にリスキーである。そのときは親が守るしかない。
☆今回のシンポジウムは、私立公立どちらを志望するにしても、このリスクを回避しようという親にとって重要な出来事となるだろう。
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