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麗澤中 創設者廣池千九郎の忠実な継承者

☆今月2日、麗澤中は学校説明会を開催。160名ほど参加していただろうか。柏エリアで一定の評価を獲得している私学である。

☆その理由は、自然豊かなキャンパスと英語に力を入れた授業、そして何より、創設者廣池千九郎が確立した道徳科学=モラロジーを教育の根幹においているからである。

☆しかもただ文言を唱えて継承しているのではなく、教育の活動にある程度有機的につなげているところが良質の教育という雰囲気をキャンパスに滲み出している。

☆説明会では、生徒会の副会長も同じようなことを学校の特徴として説明した。

☆しかし、そこらへんが何とも同質的過ぎて、つまり透明すぎて、聞いている方は戸惑いもあった。だからといって、参加者が特別エリートだというわけでもなく、説明会を聞いている子供の中には、友人同士おしゃべりをしているぐらいの緊張感がとけている柔らかい雰囲気も一部にはあった。

☆モラロジーは、知識よりも心を豊かにするための教育である。そしてそれを日本語と英語で表現できる言語技術を身につけるプログラムがある。この3つはたしかに「心」を介して有機的につながっている。

☆しかし、教科の授業はどうかというと、そのつながりがみえてこない。入試問題の解説を聞いても、結局知識であるのかと・・・。というのも、国語と理科はなかなかおもしろい、従来の入試では出題されたことがないような思考力・表現力を問う問題が出題されているのだが、説明する先生は、謙遜してだとは思うが、配点的には、この問題は解けなくても合格できるので、基本をがんばってくださいという。

☆つまり知識をきちんと覚えてきてねということだ。入試全体の傾向の説明では、言語技術などのプログラムにあるように、考えることを重視しているから、その準備として入試のときもその種となるような問題を出しますというアピールだが、実際には途切れてしまう。

☆なぜ途切れるのか、それは途切れざるを得ない理由があるのだ。先生方の意識が低いからではない。

☆廣池先生のモラロジーは、今の時代の認識を吸収していないからである。あらゆる人間の問題は、残念ながら歴史によって変化する。その変化を読み取り、解決しようとしなければ、一人ひとりの人間がかかえる問題にまで到達しない。

☆家族はたしかに大切である。天気予報で今日は晴れると言っていても、親が今日は念のため傘を持っていきなさいと言ったら、子は感謝をして素直に傘を持っていく愛が大切であるというのは確かにそうであるが、家族というシステムが変わりつつある今日、その行為に果たして解決のポイントがあるだろうか。

☆これは東大合格のOBが、実は気づいていることなのだ。流行やステレオタイプな言説にはまったく興味がなかった。それよりもポストモダニズムやグローバリゼーションのパラドクスをどう解くのかという問題はワクワクしたと。

☆廣池先生のモラロジーでいけば、ポストモダニズム的風潮は、受け入れられがたい狂気だろう。しかし、未来を拓くリーダーは、そこに背を向けることはできない。

☆この廣池先生のモラロジーを時代認識に対応できるように弟子たちが変換させる作業がまだできていないところに、理想と現実のギャップが生じているのだと思う。

☆もちろん、これは価値観の相違で、廣池イズムという世界では、ある意味完結している質の高い教育ではある。

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