かえつ有明 静かな情熱 (了)
☆教育の質というのは、授業と授業外の教育活動のシナジー効果によって決まる。様々な要素があっても有機的につながっていない場合、質が向上しないどころか、下がる。というのも、要素がただ配列されているだけでは、その要素が多ければ多いほど情報過剰になり、その環境のメンバーは疲弊するか、自分の関連するもの以外に無関心になる。
☆そうなると、情報の隠ぺいが、意図しないのに生まれるし、全体のバランスの舵がとれないから、一部のメンバーの考えに集中し、偏りが生まれる。その偏りが一か所だけではなく、複数個所できれば、葛藤が起こり、その間に無関心主義者が生まれる。
☆意図しない足の引っ張り合いが生まれ、組織は機能停止する。
☆その点、かえつ有明は、その組織の機能を阻害する要因を取り除くリスクマネージメントが機能している。それは、前回紹介したように、今回の説明会の先生方の協力姿勢からよくわかる。前回こう書いた。
教師が一丸となるということは、肩を組んで仲良くやっている外面的な姿を見せることではなく、理念とビジョンとなんといっても知性と感性をいかにシェアするかその内生的な深化にかかっている。そう感じさせられた説明会だった。
☆まさに協力の内生的深化があった。それを物語るもう一つの証拠が、合唱コンクールに対する学校あげての取り組みである。
☆ついこの間、文化フェスタが終わったばかりだというのに、来年1月の合唱コンクールに向けて準備が始まった。文化フェスタは、生徒同士が協力し合いながら、自分の個性をアピールする場であるが、合唱コンクールは、無我の境地で協力し合わなければならない。
☆呼吸を一つにしなければならない。程よい緊張も、心地よい気持ちの発散も、調和しなければならない。自分の身体と心と言葉と歌がシナジー効果を最大限にしなければならない。
☆そこで生徒たちが学ぶのは、実はサバイバルスキルなのだ。このスキルは、チームビルディング、マルチロールプレイヤー、コミュニケーション能力、読解力、思考力、想像力、共感力、メンターの素養、ディスカッションの深化力などであるが、このすべての力を歌にこめ、言葉にこめ、それは波状にして響きを伝えるのである。
☆この合唱によるサバイバルスキルの奥義は、学内の壁に貼ってある。そしてそれを見るにつけ、このスキルは、サイエンス科で養うクリティカルシンキングに通じるものがある。かくして、授業とそれ以外の教育活動が響き合っているのだと感動した。
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