« 教育関連市場の方向性 | トップページ | 学校サイトで教育の質がわかる(2) 麻布・聖学院・かえつ・広尾・海城・鴎友 »

学校サイトで教育の質がわかる

☆ほとんどの中学受験生の保護者は、スマホやiPad、モバイルPCを持っている。合格発表がネットで見ることができる時代である。それは当然である。

☆だから、私立学校は、ホームページで情報を頻繁に流すようになった。しかし、だからこそ学校間の比較が簡単にできるようになったわけである。

☆大学進学実績と偏差値が高ければ、ホームページの更新率なんてどうでもよいと油断していると、たいへんなことになる。そして学校説明会や文化祭などのイベントの告知としての情報だけを流していると、それもまた定型的で義務的で、ルーチンな仕事をしているなぁと感じ取られてもしまう。

☆説明会であれ、学校サイトであれ、学校自身の表現である。表現である以上、そこにはトピックがなければならない。トピックセンテンスがなければならない。それをサポートするセンテンスがなければならない。トピックセンテンスは事実に基づいた思想であり、品格ある情念が付加されていなければならない。

☆しかし、意外と事実だけである。これでは、学校サイトを比較したとき、見る側は差別化ができない。結局、偏差値と大学進学実績と伝統ブランドの差で学校選択は決まる。

☆であれば、開成や桜蔭、駒場東邦のように、更新もそれほどしないパンフレットのデジタル版としてWeb上にぶらさげておけばよい。もちろん、教育情報を流さないというのは、たんに閉鎖的な雰囲気を伝えるだけではなく、中等教育における人材育成の責任を担っている意識が足りないような感覚を与えないではない。

☆しかし、説明会とほかのイベント以外に情報を載せなくても、このような学校は、十分に教育の質を伝える最強の手段を持っている。それは学校の顔である入試問題である。

☆入試問題は公開されており、それを見るや、どのような教育が行われているかが一目でわかる。どんなにすばらしいパンフレットやホームページをつくろうとも、何をやるかという点では、この入試問題を通して映し出される教育実践になかなかかなうものではない。

☆そういう意味では自分の学校だけの問題ではなく、世の中にどのような思考問題を問いかけていかねばならないかアピールしているのだから、まっいいかなのである。

☆しかし、そうはいっても麻布のホームページは参考にしてほしい。決してデザインはよいとはいえないが、この入試問題は、このような知的な環境を創っているから、こんなふうに考えることができる教師が存在しているから生まれるのだという情報が公開されている。更新率も高い。

☆私立学校として“Public School”である使命を貫徹しているという私学の中の私学であると思う。もちろん、文科省に統括されているという意味でPublic Schoolなのではない。公共圏(Public Sphere)としての“Public School”である。この「公共圏」は、言うまでもなく世界市民的時空のことである。

☆麻布のような独自の思考問題を作成し、その裏付けになる教育の質まで学校サイトできちんと発信している学校は、麻布以外に次のような学校がある。

聖学院、かえつ有明、海城学園、広尾学園、鴎友学園女子

☆こうしてみると、21世紀型教育を行ってる学校グループと重なっていることがわかる。未来を創る学校の広報の特色として、次のポイントをどれだけ満たしているかということも重要である。

①21世紀型教育の実践

②思考問題を前面に出す入試問題の作成

③教育の質を学校サイトで発信

④帰国生を本格的に受け入れる

⑤海外大学への進学の道を開いている

☆麻布は④はやっていないが、ほかは全部ある。鴎友学園女子は、④と⑤は本格的ではないが、①から③は万全である。

☆聖学院、かえつ有明、海城学園、広尾学園は、①から⑤まですべてに力を入れている。おそらく知られざる私学の中の私学なのではあるまいか。

P.S.

“The world is increasingly evolving from a knowledge-based economy into a economy based on creativity and innovation.”

The Art of Software Innovation: Eight Practice Areas to Inspire Your Business 
Minna Pikkarainen, Wim Codenie, Nick Boucart, Jose Antonio Heredia Alvaro
Springer-Verlag New York Inc (C) (2011/10/28)

こんな時代に突入したのは確かだから、これに対応し、舵取り、乗り越えられるソフトパワーが必要。技術は大学から大いに研究できるが、ソフトパワーは、中等教育レベルの使命である。ソフトパワーを生み出せる教育コミュニケーションの一環として、学校説明会や学校サイトもあるのではないか・・・。

|

« 教育関連市場の方向性 | トップページ | 学校サイトで教育の質がわかる(2) 麻布・聖学院・かえつ・広尾・海城・鴎友 »

Good School」カテゴリの記事