「がんばれ、さくら」 中学受験生の親の必読書
☆日能研の常務取締役・東京本部長時代に経営戦略で辣腕をふるった1人。ドラッカー流儀で、新市場を創出するエンジンだった。それによって中学受験市場が盤石になったことは確かである。そして、その新市場の持続可能性のために、私学の応援チームとしての中学入試情報センターや公開模試事務局でリーダーシップを発揮した。
☆ある意味、元祖偏差値メーカーでもあったわけだが、当時の日能研は、受験生と共に偏差値は超えるためにあった。本書も、その精神の灯が輝いている。
☆たかが偏差値、されど偏差値。偏差値の呪縛から逃れるために、中学受験の意義やイメージを受験生と親と共有してきた35年のキャリアが受験の本当の道を導いている。
☆偏差値とは、中学受験に限らず、近代社会にあって、通過しなければならないアンビバレンツな関門である。それゆえ、呪縛であり、自ら解き放った時に得るものは大きい。
☆しかし、そのアンビバレンツに耐えられないで、片方でキレイごとを追究しだした理想主義の経営者、一方で居直って現実主義を暴走する経営者の狭間で、中学受験というアンビバレンツを背負って受験生と親と共に歩き出した樋口氏は、袂を分かち、独立した。
☆そして今では、三大模試として、自ら作り上げてきた中学受験市場をドラッカー精神で保守する一角を担っている。
☆本書は、樋口氏の中学受験市場形成史であると同時に、市場の矛盾や逆説の中にあって、受験生と保護者とあきらめず励まし合って成功を勝ち取ってきた物語である。
☆受験生の親の必読書であると同時に、冷え込む中学受験市場を立て直そうとする企業人の必読書でもある。
☆そして、何より、ドラッカーと親交があったシュンペーターの本を合わせ読めば、いかにイノベーションがキーであるかがわかる。そのヒントとして、本書は近代社会の矛盾を生徒たちのために乗り越えようと日々粉骨砕身努力されている私学人にエールを贈る書なのである。
P.S.
本書は、授業の重要性と入試問題の重要性を説いている書でもある。
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