21会(21世紀型教育を創る会)第2回 in 広尾学園[3]
☆21会の対話が可能なのは、それぞれ創意工夫したプログラムを試行錯誤してきたからだ。創意工夫と言えばカッコ良いが、どれだけ時間と知恵を投資していることか。もちろん悔しい思いもしているが、それを乗り越えてきたすさまじい様相が背景にはあるのだ。学習指導要領に基づいた教材とはまったく質もパワーも違うプログラムなのである。
☆既存の定型的プログラムを導入すれば、どんなに気楽か。にもかかわらず、独自の着想で前人未到の境地を切り拓いてきたのである。
☆広尾学園のインターコースは、先例がない。今年高1から開始した「医進・サイエンスコース」や毎月のように行っているキャリア講演会や高大連携プログラムは破格。大橋理事長自らがサンデル教授よろしく哲学的対話を中学生から教師にまでしかける。ポストモダニズムという個人の微分化していく社会にあって、普遍性を背負うことをコミットメントすることはいかにして可能なのか。グローバリゼーションとサイエンスは、普遍性へのモチベーションがなければ到達しえない。
☆聖学院の帰国生受け入れ体制は独特で、今年はやくも慶応文学部の自主推薦入試に合格した生徒が出た。オーストラリアのクインーンズランド大学(世界大学ランキングベスト100に入っている)指定校推薦のシステムも軌道に乗り出した。東大生フェローによる数学講座も数学的思考力養成に一役買っている。数学科は、数学で論理的思考力をいかに育成するかに挑んでもいる。しかし、何よりすべての教科の授業が21世紀型教育に挑戦しようと、それぞれの教科が対話を開始した。やがてそれは千人の交響曲を大合奏することだろう。
☆かえつ有明の中学の「サイエンス科」という科学的思考やクリティカルシンキングを学ぶ特別プログラムは、他校にはない唯一の独自プログラム。6年以上の歳月を費やし、学内で大論議を交わしながら制作。その道のりはさらに続き、高校で研究して成果をあげているTOK(IBのディプロマプログラムの一つ)という哲学的議論のプログラムにもうすぐ接続するところまできている。まったく21世紀型教育で、理解できる慧眼の持ち主は、学外ではまだまだわずか。この環境にイチハヤク気づいたのは、帰国生。今まさに行われている帰国生募集は飛躍的に伸びている。
☆富士見丘は、辞書を使わないで原書を読めるようにするプログラムを開発。自主研究による探究活動・論文編集・プレゼンといった一連の破格のプログラムも開発。カナダ、イギリス、オーストラリアの留学体制も充実しているが、今驚きの国との連携を検討している最中。「検討」といったとき、それはどれほどの労力とリーダーシップを発揮しなければならないか想像できるだろうか。そのようなコーディネート力はナマナカではない。
☆洗足学園の帰国生クラス、中学でのカリフォルニア州有名プレップスクールの長期留学システムは追随を許さない。大学進学実績も大飛躍している中、今年米国のアイビーリーグの大学に進学する生徒輩出も。毎年多くの留学生がサンフランシスコにロサンゼルスにニューヨークにと飛び立つのであるが、お金さえ払えばできるというものではない。教員が海外の相手の学校とタフな交渉をし続けなければならない。
☆そう「ダフ」なのである。21会の私立学校の教師はたしかにタフである。公立の先生方の中にもタフな人材がたくさんいるのに、それを活用できない教育法制度は問題だろう。
☆小村氏。新しい学びのプログラムを開発し、私学の先生、大学人、企業人、政策担当者を巻き込み、渦やウネリを作り出すスーパー創造的破壊者である。必要とあらば、MITラボにも飛び立ち、何かしらリンクの糸口を発見してくるその駆動力は並大抵ではない。
☆鈴木氏は、スーパーアントレプレノイアーである。モバイルPCとスマホとスカイプを駆使し、環太平洋国を飛び回り、24時間サイバー上で帰国生(大学入試の生徒)やIBを学んでいる生徒にアドバイスをしている。学習指導要領からはみ出る才能者の学習支援をしている起業人である。
☆さて、今後「21会」というグッドスクール私学人会議は、どんなクリエイティブクラスな人材を巻き込んでいくのだろうか。楽しみである。
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