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≪未来を創る教育≫がいよいよ動き出した感じがする

☆2004年に≪未来を創る学校≫(絶版)という本を書き、次の年、2005年日・EU市民交流年の一環として3連続≪未来を創る学校≫セミナーを企画した。あれから7年が過ぎようとしているが、海城の先生からその本を頂いたから会いたいということで、関西で中高教育関連の情報センターや塾を展開している株式会社ユーディックの川東社長とお会いした。

☆話は多岐にわたり有益であったが、何よりハシズムの行方がどうなろうとも、守らなければならない未来を創る教育への強い意志に共感した。それゆえ、そこにいくまでのビジネスロードマップが明快で、なるほどと納得した。要するに今行っているビジネスの壁の向こうは、もう未来を創る教育の市場があるわけである。若いスタッフの方がたしかにそこに向かって準備をしているというのもテンポのよいプレゼンで了解できた。

☆キッザニアの住谷社長と話をするチャンスもあったが、都市キッザニアと農村キッザニアのビジョンは、3.11以降の新しい市民生活の先行モデルになると感じた。生産手段と労働力のエネルギーの両方を収めることにより、新しい個人互恵社会が生まれる予感。

☆新しい個人化とは、権威、国家から距離をあけるポストモダニズム的個人化ではなく、その過程を通して、新しい共に生きる個人の成長を意味する。

☆生産手段も労働力のエネルギーも権威や国家にコントロールされている間は、個人化しているだけであって、共に生きるギブアンドテイクのみならずギブアンドギブができる個人は存在していなかったが、キッザニアモデルは、そのような新しい個人の誕生を予感させる。

☆理念上の世界市民が現実化するのかもしれないのである。

☆そんなことを感じていた時に、JOBAのディレクターの渋谷氏とスタディーエクステンションの鈴木社長と対話する機会があった。TPPがどうあれ、円高がどうあれ、本当のところは、未来を創る教育のリソースをしっかり持つことであるという信念に同意する。そしてその未来を創る教育リソースは、世界の子どもたちと共有できるレベルと質をもっていなければならないが、その教育を開発していきたいと、2人は熱く語っていた。

☆今年、聖学院の平方先生は、21世紀型教育を標榜して、首都圏模試の4回の座談会で洗足と富士見丘の先生方と布教活動を行ってきたし、今も行っている。これからも行っていくということだ。クリティカルシンキング、TOKなどの科学的思考力を学校全体で取り組んできたかえつ有明の石川教頭もまた21世紀型教育の開発のために、リーダーシップを発揮している。広尾学園の大橋理事長は、サイエンスとグローバリゼーションと哲学の三位一体教育の実績を構築し、やはり21世紀型教育を邁進しており、グローバル企業や最先端の科学に従事している父親から強烈な支持を得ている。

FSPのようなつながりやカタリバと鈴木寛氏のリンク、ロボット講座と留学生とのジョイントの仕掛け人のベネッセの小村氏も、21世紀型教育を推進している。

☆ここに21会コミュニティが生まれつつある。この21会は鈴木寛氏やハンナ・アレントではないが、労働でも仕事でもなく、活動なのである。

☆ここのところ出会って対話するコミュニケーション行為は、かくして活動である。未来を創る教育をビジョンとして語り合うだけではなく、活動として展開し始めたわけである。政治も経済も重要であるが、人間としての知そのものの育成をすべての子どもたちに。なぜなら、その知こそ政治であり経済構造において交換できる最強の貨幣として成立するのが、個人協働社会である。すべての個人が知に満たされていてこそそれは可能だ。そこに到達する過程に知識基盤社会があるだろう。

☆しかし、この知識基盤社会は、生産手段である知の格差を生み出す個人化された社会である。その壁の向こうに≪未来を創る教育及び学校≫は誘い導くだろう。具体的に何が起こるか、大変楽しみであるが、それを既に予告するかのように実践しているモデルは土浦日大中等教育学校にある。東大をはじめ国内の大学合格は言うに及ばず、海外大学の進学実績も輩出しているが、そのための6年間一貫のプログラムが構築されている。

☆校長、副校長をはじめ国語の教員でもある副教頭も英語が堪能で、実際に海外体験や海外生活も長い。他の多くの教員もグローバルな社会観を有しているし、世界的視野も広い。脱講義型の授業も運営できるし、プレゼンも英語と日本語の両方でやる。それらは、特別なオプション授業を用意して行われるのではなく、通常の授業の中に織りなされている。

☆以上のような教育産業や私立中高一貫校が点から線に、線から面にコラボし始めているのが現状である。2012年国際政治経済に衝撃が走るかもしれないが、教育、教育そして教育という教育リソースが政治経済をマネー以上の≪媒介≫として、世界をつなぐ社会がやってくる。そんな印象をもったここ数日の出会いであった。

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