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プレジデントファミリー 一流の家と二流の家の受験戦略の違い?①

☆プレジデントファミリー(2012年1月号)の表紙がスゴ過ぎる。「一流の家と二流の家では、受験戦略が大違い 年収1500万の教育方針」というコピーが飾っている。勝ち組負け組、優勝劣敗発想で、中学受験を斬る!ってやつだ。さすがは経済誌である。

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☆しかし、この経済観は、20世紀型だから、21世紀型のメガネでも見てみるとたいへんおもしろい読み方ができる。21世紀型のメガネの一つ、いや21世紀型ver.0.5のメガネとしては、文科省・内閣府の「グローバル人材育成推進会議」の中間報告がヒントになる。

中間報告資料→「110622chukan_matome.pdf」をダウンロード

☆データは、複眼的に見るほうが楽しい。解釈は多様なのである。たとえば、次のデータ。

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☆大手金融の親はダントツに中学受験をさせるとあるが、その理由は本当のところはこれだけではわからない。大手金融というと、同誌によると銀行マンとなるが、果たして21世紀はどうだろうか?すでにシフトははじまっているのではないか。すると、エリートになってほしいから中学受験をさせるという20世紀型の発想より、ガバメントの教育や経済政策の信頼性がなくなっていて、ゆらぎの21世紀経済社会にあって、それを乗り越える判断力をつけてほしいからというのもあるのかもしれない。

☆いや図3をみれば、やはりエリート嗜好性が圧倒しているではないか!と言われるかもしれない。しかし、この学力レベルを学校選択理由にするか、のびのび学校生活を選択理由にするかという分け方自体が、20世紀型である。

本田由紀氏の『「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち』という社会学的分析の発想と同様であるが、これは公立の学校の選び方である。本田氏は、前者をきっちり型、後者をのびのび型としているけれど、21世紀型教育を標榜している私立学校は、その両方を統合したわくわく型なのである。本田氏は、社会学者であるから、その分析対象はまだ20世紀産業社会における初等中等教育である。しかも、そこには私立学校の分析はないのである。私立学校を、そのメガネでみると、実態とは違う可能性もある。

☆政府のグローバル人材も、まだまだGDP右肩上がり神話の失地回復の側面もあり、完全に21世紀型とはいえないけれど、IBなどを導入する学校を増やそうというプランは、きっちりエリートでも、のびのび常識人でもなく、わくわくノーブレス・オブリージュとしての人材を想定しているわけだ。

☆この欲求は、大企業やグローバル企業から来ているのだから、そこで勤務している父親が20世紀型エリートを望んでいるはずがないのである。

☆次のデータはそれを裏付けるものである。

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☆「大手は軒並み数学」とある。同誌によると、論理的な思考が大事だからということらしい。これは21世紀型だ。しかしもっというと、数学は最終的には哲学である。普遍性の追究なのだ。

☆20世紀末は、ポストモダニズムの横行で、普遍主義は嫌われたが、21世紀型は再び普遍主義なのである。なぜなら、ASEANにしてもTPPの話にしても、EUにしても、普遍性をどのように設定するかが重要問題だし、グローバル人材やノーブレス・オブリージュの精神は、普遍的精神を背負うということを意味している。

☆21世紀型発想や21世紀型教育は数学が突破口である。本当のところは、数学的思考と言った方がよいかもしれない。

☆そして、今のところ世界の平和を果たすのは、軍事力ではなく、マーケットの持続可能性である。ただしマーケット自体は多層多様であるから、複雑な方程式を創出して解かねばならない。数学的思考なしには果たされない。

☆だから、「大手は軒並み数学」というのは「大手は軒並み21世紀型」と置き換えることも可能であるかもしれない。

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