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困ったときの併願校選択の情報の読み方[02]ポジティブ心理学

☆日経ビジネスONLINE(2011.12.6)の記事にこんなのがあった。「ハーバード発、ポジティブ心理学最前線」(宇野カオリ著)というエッセイで、ハーバードで人気があるのは、サンデル教授だけではないというというのである。

2006年春、約1200人収容のその大講堂を所狭しとハーバード・カレッジ(学部に相当)の学生たちが埋めていた。講義の最中、ノートを取るためにパソコンを打ち込む音が聞こえるほかは、おしゃべりをする声も携帯をいじる音も一切せず、一心に講義に聞き入るために大講堂がシーンと静まり返っていた。

 当時、ハーバードで一番の人気授業だったタル・ベン=シャハー講師によるポジティブ心理学の講義の一風景である。

☆このポジティブ心理学というのは、ポジティブシンキングとかポジティブアクティブと違って、ポジティブ一辺倒ではないという。このポジティブという言葉の響きは、幸せ強迫観念症候群的で同調抑圧的なところがあって、どうも教育現場では人気がないが、それとは違うのだというのである。なんかツボをついている感じではないだろうか。宇野さんはこう語っている。

 実は、このような「何でもかんでもハッピーにポジティブに」というのは、ポジティブ心理学における「ポジティブ」とは少々解釈が異なる。ポジティブ心理学の「ポジティブ」とは、ネガティブ一辺倒に偏った個人や組織における「バランスの是正」を目指すべく、ポジティブを志向するところから生まれた「方向性」だからだ。

 悲観的な考え方が強すぎて、現実的に身動きが取れなくなってしまっているようであれば、楽観主義の考え方を学ぶことで、物事を正しく判断しながら行動できるようになる効果が見込める。ネガティブが過剰でも、またポジティブが過剰でも、現実を正しく認識することはできない。

 要は、自分の既存の枠にとらわれずに、柔軟に見方を変えてみることで、バランスのよい地点に到達することが大切なのだ。ポジティブ心理学が、「バランス心理学」や「パースペクティブ(大局観)心理学」とも説明されるのはこのためだ。

☆バランスと言うと、どこか保守主義的で、アリストテレス的で、客観的で、冷ややかな感じだが、「要は、自分の既存の枠にとらわれずに、柔軟に見方を変えてみることで」というのは、コペルニクス的転回を想起し、どこかワクワクする。既存の枠の中で、くよくよせずにポジティブにハッピーにいこうよ!♪といのではなく、既存の枠を見つめて、それを破壊的に創造するのだから、情熱的だしクール。

☆併願校を決める時にも大事なマインドである。偏差値の枠組みにとらわれていないか、脱偏差値の枠組みにとらわれていないか、革命的なことばかりにこだわってはいないか、保守することばかり気にしていないか。結局その枠組みは自分が作ったのではなくて、人に押し付けられたものではないか、いや自分の枠組みにこだわり、聞く耳をもっていないのではないか・・・。

☆大事なことは、家庭の中にある枠組みを家族のメンバーで話し合って、微調整しながら、あるいは確信をもちながら、学校選択をすることかもしれない。ここまでやれば、学校選択は、人生の選択であり、キャリア学習の一環になる。

☆時間とコストを費やすのなら、中学入試で多くを学びたい。多くの学びはタフな人間を形成するが、タフの大きな条件は、自らの枠組みを創造的に破壊することなのかもしれない。

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