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困ったときの併願校選択の情報の読み方[03]白百合

☆さて、日能研の「学校情報コラム」を見てみよう。まずは白百合のコメント。生徒たちのタブリエ姿やフランス語の授業、英語に力をいれていることなどは、多くの受験生や保護者は知っている。

☆全員が行う理科の解剖の授業があることも知っているだろう。物理・化学・生物・地学の四つの実験室があることもおそらくは。

☆しかし、「たとえば生物では、中1で植物の茎などの観察を高性能の顕微鏡を一人1台ずつ使用し、中3では解剖を、魚や豚の内臓などを全員が実施しています」というところは、意外にも新鮮な具体性ではないだろうか。

☆だから想像が膨らむ。もしかしたら、ひよこの解剖もするかもしれない。女子生徒がクールに解剖する。あるいは、キャーキャー、残酷だと言いながらも、しっかり解剖し、ついでに脳まで解剖し、平気でランチをとりながら、解剖の手順でのすさまじいデキゴトや観察したことをきめ細かく話題にしているかもしれない。

☆そんな雰囲気が伝わってくる。

☆あとは、「実験・観察によって、理科好きの生徒がどんどん育ち、高校2年生では半数が理数系を選択しているほどです。理工医薬獣医系への進学が年々増えいている理由の一つがここにあると感じました」というところだ。

☆感じたというのは、≪実験施設の完備と実験の多さが理工医薬獣医系への進学≫につながるという因果関係のフィルターをかぶせたかったのか、本当に学園当局がそう思っているかである。

☆そんなに進学に面倒見の良い学園だっただろうか。シャルトル聖パウロ修道女会の理念から言うと、当局が直接言うとは思えない。それとも生徒獲得のためのリップサービスだろうか。

☆それは山上の垂訓に反するだろう。

☆それに優秀な理科の教師は、実験第一主義ではないのである。実験であれ観察であれ、枠組みは対象物ではなく、観察者側、思考する側にある。こちら側の素朴な日常的な枠組みを壊すために実験をやるのではなく、壊せたかどうかを検証するために実験をするのである。

☆色の三原色とブラックボックスの関係を考えるのに、中高レベルでどんな実験ができるのだろうか。ニュートンとゲーテ、ホーキングを読まなければ、その枠組みを壊すことはできない。

☆だから白百合学園は、読書に力を強烈に入れている。ファインマンと湯川秀樹と谷川俊太郎を結びつけることができなければ、実験をやってもそれは単純に追認だけである。追認とは、思考のレベルでいけば7レベルのうちの2レベルでしかない。

☆そんなレベルの実験をするはずがないのである。白百合学園の生徒の思考のレベルを調べることが肝心だ。面倒見の良い進学指導を、彼女たちは望まない。勉強というのは自分を導くニュートンやゲーテ、ホーキング、ファインマン、湯川秀樹、谷川俊太郎・・・などを師とすることである。内生的徒弟制度、“endogenouce apprenticeship”。修道会だねェ~。

☆もしこの精神を捨てたら、メジロのカテドラルはカトリック学校として承認しないだろうし。

☆ともあれ、優秀な教師は、その師のいる世界へのゲートに連れて行くことしかしないし、できないのである。進学指導に対し面倒見が良いなどという言説=表現には、いったん立ち止まって思いめぐらしてみるのもよいかもしれない。

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