« 21世紀型教育における子どもの飛躍的成長とは何か? | トップページ | 首都圏中学入試2012[02] »

首都圏中学入試2012[01]

☆首都圏中学入試は、一部で帰国生入試や推薦入試、募集がスタートしていることなどを考慮に入れると、すでに静かに始まっているが、いわゆる一般入試が始まるのは来年1月に入ってから。

☆一方、来年1月になってまだまだ多くの学校が説明会を開催するから、学校選択も完全に決まっていないファミリーもまだまだある。というよりも、今後の日本社会の方向性を読みながら、学校を選択することは、今ではリスクマネジメントでもある。ギリギリまで学校選択を考えるファミリーは昨年までに比較して多くなっているのではないだろうか。

21kai
      (21会ミーティング 未来を創る私学人の集い)

☆それに毎年、一度も学校説明会に足を運んだことがないが、受験してみて初めてこんなに魅力的な学校だったのかと気づいて、志望順位を変更して入学するというケースも少なくないのである。

☆まだまだ学校選択のための情報を得ることは重要である。したがって、本ブログでも、倍率の状況や11月までの三大模擬試験の志望校動向などの量的データや教育の質の情報を重ね合わせたり、教育に大きな影響を与える社会動向や外部環境の変化、その予測なども補助線として、2012年中学入試における学校選択動向を探っていきたい。

☆見ていくポイントは、

①東大などを初めとする難関大学実績と生徒募集の関係(海外大学の道はあるのかないのか)

②すでにAO入試や公募推薦の結果がでている学校の教育の質

③知識基盤社会にシフトしている21世紀型社会における知識概念に対する教育の見識(つまり21世紀型教育か20世紀型教育か)

④視聴率主義、選挙率主義、GDP主義、偏差値主義に対する学校の見識

⑤グローバリゼーションの光と影に対する教育の見識

⑥教授法と学び方の差異化と最適化に対する教育の見識

⑦イノベーティブティーチャー(iTeacher×Leader=iTL)の存在理由を認識している学校の見識

☆①の東大をはじめとする難関大学実績は生徒募集の増減に影響する。それは中学受験が大衆化し、視聴率主義=選挙率主義=GDP主義=偏差値主義というショートした方程式のポピュリズムの影響は、シェームズ・スキナー氏の「略奪大国」ほど極端ではないが、中学入試においても避けられないのも事実である。

☆この事実をどう受けとめるかである。

A 東大に進学させることは目的ではなく、生徒自らの人生においていかに生きるかという進路選択の結果、そうなるのはまったく構わないし、応援するという考え方の学校。

B 建前はそう言っているが、本音は東大進学率を上げることを目的にしている学校。

C あからさまに東大進学率を上げることを目標にする都立の進学重点校のような発想の学校。

D グローバルな時代にあって、教育もその例外ではないのだから、進路選択の情報をドメスティックな領域からグローバルな領域に拡大し、その結果として、東大などの難関大学に進学するのは歓迎。

☆東京・神奈川エリア以外の首都圏の私立学校の募集がすでに始まっているが、特に埼玉エリアの私学は、Cのケースが目だつ。カトリックの学校が、意外とBの場合が多いのは興味深い。

☆AとDは、潜在的には同質なのであるが、海外大学進学への明確な取り組みをしているかどうかが、大きな違いである。渋渋や渋幕などは、その中間で、一部の教師は取り組んでいるが、学校全体が海外大学進学プログラムやシラバスを制作しているというわけではない。

☆海城学園も2010年まではそうであったが、今春から高校入試を廃止し、中学で本格的に帰国生入試を設置してから、海外大学への道を開くプログラム制作の道を開拓することになるだろう。

Kaijo


☆いわゆる男女御三家の学校は、AかBだが、同窓力があるから、学校が取り組まなくても、同窓力で情報交換が行われているはずである。facebookなどは有効に働いていると思う。インタビューなどしなくても、この推理はあたらずといえども遠からずだと思う。

☆AとDのポジショニングにいるのは、グッドスクールである。とくにその中で21会のメンバー校は、Dのビジョンを明快に表現している

☆Dのポジショニングにいるグッドスクールの特徴は、日頃の授業の中に、21世紀型教育である要素を導入している。

読み書きそろばん(3R)から探究・議論・編集表現(3X)への転換

グループワークからチームプレイへの転換

要素還元主義から関係総体主義(学際主義)への転換

知識整理型から知識創造型への転換

垂直社会・水平社会から円環社会への転換

形式知化から暗黙知生成への転換

シンタクスからプラグマティクスへの転換

規律&環境統治型から生態循環系型への転換

☆などなどおもしろいことが起きているのである。

☆グッドスクールは今のところ39校紹介しているが、首都圏中学受験者人口が10%から15%減少しているといわれている中で、単純に三大模擬試験の量的データの結果だけからみても、39校のうち75%の学校は応募者の前年対比85%以上になるだろう。

☆その中でも麻布や晃華は前年対比70%を切るかもしれないと予想されているが、定員を割ることはないので問題はない。晃華学園はアンチポピュリズムのストイックな学校なので、大衆化された学校選択者が避けただけだろう。中学卒業論文への取り組みは相変わらず本格的だし、進学実績も結果的にたくさん出ている。

☆麻布は、筋金入りの自由な学校で、クリエイティブクラスの学校だから、不透明で不安な時代をサバイバルする人材輩出にはマッチするはずだが、略奪大国を批判する側よりも、略奪大国の中でよきポジションを占拠したほうが当面安心安全だという志向性の学校選択者が避けたのかもしれない。

☆それから、麻布に行ってセルフマネージメントができない場合、それも人生であると思いきれない場合、セルフマネジメントができるようになるサポートを受けられるほかのグッドスクールに初めから進学しようという学校選択者も現れてきたのだと思う。

☆視聴率主義、選挙率主義、偏差値主義の呪縛から解かれた学校選択者がそのような判断をしても価値あるグッドスクールが出現していることは確かなのだから。この意思決定はグローバルな環境の中で仕事をしている父親が行うケースが増えてきている。

                                                  (つづく)

|

« 21世紀型教育における子どもの飛躍的成長とは何か? | トップページ | 首都圏中学入試2012[02] »

中学入試」カテゴリの記事