首都圏中学入試2012[02]
☆28日は仕事納めのために、学校も各情報センターも休暇に入った。そのため、倍率速報は、昨年最終日集計に比較して15.8%の段階で止まっている。来年5日以降には、再開されるだろうから、それまでは直前の学校選択情報をいかに読んでいくかの準備をしておこうというのが、今現在。
☆まず、倍率についてだが、前年比が下がる学校が多いのは予想通りだであるけれど、実質倍率が2.5倍以上あるところは、昨年に比べ低くなったとしても、それは難易度にはあまり影響しないので、受験生当事者にとっては関係ないので、頑張ってほしい。
☆実質倍率が2.5倍をきると、難易度はかわらないけれど、1点差で合否が決まる密集ポイントが減るので、偏差値を気にすることなく、マイペースで受けられるという点で、少し気が楽になるだろう。
☆かりに実質倍率が1.2倍ぐらいだったとしよう。その場合全入という学校もあるが、入学後生徒が成長できるかどうかを見極めて、全入にしない学校もある。というより多い。だから、たんじゅんに安心するのではなく、ここでもマイペースで試験問題の6割以上をとれるように「眼張る」ことが肝要である。
☆さて、倍率が下がるところが多いだろうということは、受験生の受験時には直接関係ないが、入学後の教育、そしてこれからの教育に影響してくる。全体の倍率が下がる外部環境の原因は、経済の低迷による家庭の所得収入減による場合が多い。
☆上記のグラフの状況が今年になって改善されたとは思えない。むしろより厳しくなっているだろうから、中学受験業界は冷え込むのも経済の流れである。まして、消費税、増税が本格始動しそうな雰囲気は、ますますこの状況を加速させるだろう。
☆さらに中学受験業界が冷え込めば、受験産業はサバイバルするために、安価な教育費の学校の受験にシフトする。それゆえ公立中高一貫校の受験対策に力点を移動するし、中学受験より高校受験(高校無償化は受験業界を思い切りシフトさせただろう)に力点を移していく。
☆私立中高一貫校が、歴史的にも未来を拓く上でも、きわめて重要な教育の拠点であるにもかかわらず、受験産業は経済原則に従ってそう動かざるを得ない。
☆私立中高一貫校はどうしたらよいのか?いや何も心配する必要はない。学校教育のシステムの問題ではなく、市場システムの問題なのだから、市場システムをチェンジしてしまえばよいのである。
☆これによって、受験生も視聴率主義=GDP主義=選挙率主義=偏差値主義から脱却できる選択肢が増えるわけである。
☆私立中高一貫校は、学校説明会に入試対策講座を併用する学校が多い。この機能を拡大すれば、塾に頼る必要はなくなる。受験生にとっても、その学校の教育の質もわかるし、今まで見えなかった授業のレベルも体験できる。受験市場から脱却し、私学市場が拡大する契機でもある。
☆また、受験生が少なくなるのはしかたがないから、受験料を上げる必要がでてくるが、それでは、補助金がでなくなる可能性がある。そこで、受験料を上げずに、受験生が少なくなっても経営が成り立つようにするには、2つの方法しかない。それは同窓力による支援を仰ぐことである。
☆もう一つは、従来不登校やいじめにあった生徒の避難所になっていた通信制高校の機能を一般の生徒にも拡大することである。もちろん、学校所在地の同エリアからの募集は信義則に反するから、広域制の通信制高校のシステムを活用する。スクーリング(宿泊については、宿泊施設を持っている学校もあるし、国内ホームステイを活用すればよいのである)に相当するプログラムや国内外の体験授業のプログラムはすでにあるから、現在の通信制高校よりも環境や教育の質が高い可能性がある。首都圏の私立学校の環境を持っていない地方の生徒に良質教育の門戸を開放できるわけだ。
☆これによって、潤沢な資金で少人数制の授業ができる。しかも優秀な教員だけが残ることになるから、さらに教育の質は向上するのである。まさにイギリスのパブリックスクールやアメリカのプレップスクールのようになる。こうなると入学者は殺到するから、好循環が生まれる。しかも広域制の通信制高校システムを導入しているから、たとえば、こういう受験生もでてこよう。すなわち、中学までは軽井沢でゆったりと勉強し、その間、受験市場ではなく私学市場の機能を使ってICTによる学びのサポートであるIB型システム(それぞれの私学は簡単につくれるだろう)にリンクし、高校段階から通信制高校システムに入り、実質中高一貫校で学んだことになるというケース。
☆自然災害のリスクマネジメントに敏感な家庭は、この通信制高校のシステムは安心安全でもあるということになる。
☆このような発想は、20世紀型教育をし続けている限りは、無理であるが、21世紀型教育を開発している学校は可能である。
☆ここでいいたいのは、今すぐ広域制通信制や同窓力で莫大な資金を集めている学校を探そうなどということではない。そういう学校はまだないのだから。そうではなくて、いまここで先進諸国の閉塞システム全体を変えなければならないが、それには時間がかかるのだから、待つことはできない。今ある制度の組み換えで、突破口を見つけられる俊敏力のある学校に期待をしようということである。そういう学校を探しておくとよいのではないかというあくまでも提案なのである。
☆だから、高偏差値を持っていて、いわゆる御三家に相当する学校に入れるのであれば、そこは、社会の閉塞システムによる大きな影響を「たぶん」受けないだろうから、偏差値競争に勝ち抜けばよいのであるという考え方は安心安全の志向性である。ただし、偏差値主義を相対化できればの話である。これ自体は世界では通用しない考え方であるから、国内の偏差値競争でしか使えないということを忘れてはならない。
☆さて、このような偏差値主義でない学校カテゴリーの中から、21世紀型教育を行い、かつ同窓力も強い学校を見出しておけば、つまり、そのような学校を調べておくことは、受験直前のこのときに画竜点睛を欠かないことになろう。
☆12世紀型教育を導入しているかどうかは、次の資料が参考になるかもしれない。
関連資料)20世紀型教育vs.21世紀型教育 「111013_21.pdf」をダウンロード
☆同窓力については、学校のサイトや学内広報誌をみれば、同窓生(OB・OG)の活躍や母校での講演や講義の様子を探すことができるだろう。特に学内広報誌は、サイトや説明会や情報誌で発信されていない重要な教育の質が編集されている場合が多いので、説明会などで「自由におとりください」コーナーがあった場合、必ずゲットしておくことが肝要。
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