NHKで取り上げられた佼成学園女子のPISA型入試
☆15日のNHKの18時のニュースで、佼成学園女子のPISA型入試が取り上げられたのはすでに本ブログでご紹介したので、今回はそのPISA型入試の「知識方法論」について考えてみよう。
☆12月10日、同学園では、PISA型入試の学習会が開催された。シミュレーション問題シートを参加者といっしょに考えていく、参加型学習会。
☆その問題の中で、江川教頭は、折り紙を折っていくことによって、最終的にできあがった平行四辺形の面積に行き着つく問題を取り上げた。
☆正方形を対角線に沿って折った直角二等辺三角形を4つの相似三角形になるように折って、その中にできる平行四辺形の面積を求めるのに、わざわざ折り紙を折る体験を通すのにはどんな理由があるのだろうかと思われるかもしれない。
☆たしかに、そんな迂遠なことをしなくても、直角三角形に補助線を引いて計算すればできてしまう。
☆しかし、その計算過程は、本当に思考過程だろうか?それは操作過程にすぎず、その操作にいたる前の思考過程はどこで学ぶのか?
☆これは実に大切である。東大の関数の問題で、二次関数のグラフ上の三点を通る二等辺三角形の重心の軌跡を求める問題に相当する。受験当日は、もはや方程式のシンボル操作でできるのであるが、その前に、重心の軌跡をイメージできるかどうかは、それだけでは得点にならないが、解く過程の前提過程とでもいえるような重要な行為である。
☆今回の学習会で折り紙を折る行為は、このシンボル操作の前のイマジネーションの喚起の体験である。さすがに東大の問題に比べて難しくないので、折り紙を折りながら、式を書かなくても、自動的に面積がわかるが、この身体でわかるという体験がイマジネーションを導く大事な基本的な思考過程なのではあるまいか。
☆計算は基礎で、思考は応用であるという俗説が従来の教育発想であるが、思考にもそもそも基礎的な思考があるのだという佼成学園女子の教育発想は新しい。
☆外延的思考と内包的思考。後者を大切にしない従来型教育は、教育格差を生む原因であることを佼成学園女子は問うている。公立中高一貫校が、従来型教育で東大を目指す進学校である教育政策は、教育格差を増幅するだけなのであるが、ジャーナリストはそこを問わねばならない。
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