聖学院大学 山下氏からのメッセージ
☆聖学院大学の広報企画部長の山下研一氏からステークホルダーに今年の最後のメルマガが贈られてきた。いわばクリスマスメッセージだが、聖学院大学の広報内容を超えて、大学人として3・11以降の新しい社会構想への思いがつづられているので、未来の教育を創る皆様と共有させていただきたいと思う。
今年最後のメールマガジンになります。
一年間サポーターズの皆様にはお世話になりました。
いろいろなことをお助けいただき感謝にたえません。今年ほど人とのつながりが大切だと思ったことはありません。
震災は昨年度最後の入試日程直前に起こりました。
予定では、各学科とも定員を満たすに十分な数の受験生が集まっていましたが、
震災発生三日後の試験では交通機関の乱れがあり、どの程度の数の受験生が集まれ
るか予測もつかない状況でした。実施は決めた上で、別日程を急遽定めることとし、被災地を含めた受験生の受験機
会の確保に努めました。
その広報にあたりましては多くの方のご協力をいただきましたこと、更めて感謝申し上げます。留学生の出国ラッシュへの対応も大変でした。
早い留学生は12日の夕方には大学窓口に手続きに来始めました。
彼らの情報を聞くと口コミでパニックになりつつあることがわかりましたので、
出国にあたっての手続きのマニュアルをまとめ、さらに手続きの簡素化に向けて
関係機関に働きかけを行いました。これにあたっても日頃の人脈を活かしてアドバイスや行動をいただきましたこと
感謝いたします。微力ながら簡素化に貢献出来たこと、うれしく思っております。おかげさまで、一旦帰国した留学生たちとも連絡を絶やすことがありませんでしたので、
新入生を含めてほとんどの学生がキャンパスに戻ってまいりました。先日、学内の留学生による日本語弁論大会が開かれましたが、彼らの苦労、不安、留学
を続けるべきか揺れ動いた気持ち、家族との葛藤、日本への思いが語られ、感動しました。
(Facebookにスピーチの動画をアップしてありますので、ご覧ください。)同時に広報企画部では入学前準備講座3月講座の真っ只中での地震でした。
講義は終わっていましたが、まだ学内に大勢残っていました。出席者の名簿を元に安否確認を夜中行うと共に学内に宿泊する入学予定者のお世話も
行わなければなりませんでした。幸い、学生スタッフも数人が帰宅出来ずにいまし
たので、彼らに後輩たちの面倒をみてもらえたのは助かりました。半年間、全国の大学を休講にして、ボランティアを組織して、被災地の復興支援に
あたるという「ボランティア学期」という構想で各方面に働きかけかけをしましたが、
なかなか理解されず、実現に至らなかったことは今でも残念に思っています。それでも学内でボランティアの機運を作り、組織化し、今でも活動を学生たちが継続
してくれていることは頼もしく思っています。
このことでも、みなさまにいろいろとお助けいただきました。こう振り返ってみると書き切れないほどいろいろなことのあった一年でした。
そして確実に、日本という国が、大学が変わり始めた一年だったと思います。
一人ひとりのお仕事、また個人の活動が社会、国、世界につながり、意味を持ち始めた
のではないかと個人的には思っています。単なる経済活動ではなく、社会とのつながりの中で自覚し、仕事をする。そんなことが
始まっているのではないかと希望的に一年を振り返れたこと安堵しています。聖学院大学では震災のあった今年「こども心理学科」の新設を決め、夏に文部科学省の
認可を受けました。来年4月にスタートします。今回の震災そして原発事故は多くの人に精神的ダメージを与えました。
なかでも弱い立場の子どもたちが受けた心の傷は大きなものだったろうと思われますし、
今後いろんな面で社会問題となって現れてくると予測されます。特に被災地での子ども
たちのメンタルなケアは急がれています。心の問題にそっと寄り添っていける人材を育てることは本学の使命と自覚して新学科を
設立しました。寄り添うためにはさらに深い心の理解が必要です。そのためスピリチュアルケアを取り
入れました。心理学では新しい分野であるスピリチュアルケアが本格的に学べる日本で
始めての学科になります。幼児期から青年期を「こども」ととらえて、さまざまな実践活動も交えながら心の痛みや
悲しみ、苦しみに寄り添いながらともに前に進んでいける人を育てます。
これからの世界に必要となる働き手ですので、活躍の舞台も広がっていくと予測しています。新分野であるだけに募集は苦労すると思いますが、意義のあることですのでチャレンジ
している最中です。ぜひサポーターズの皆様もお力をお貸しください。募集に向けての
アイデアなどいただけると幸いです。どうぞよいクリスマス、そして新年をお迎えください。
聖学院大学 広報企画部長 山下 研一
☆イギリスでは、ギャップイヤーがあって、大学に入る前に1年間自分探究ができる時間がある。イギリスの大学は3年間だから、結果的には4年間行ったことになるのは、説明するまでもないだろうが、インターンシップ(もちろん、イギリスでもある)など経済ベースのプログラムに偏るのではなく、「ボランティアイヤー」を一年間設けるというのもよいアイデアだと思う。
☆もっとも、大事なことはボランティアも、コミュニティ市場創出の動きであって、おかねは関係ないというということではない。ガバメントによる市場創出の時代ではどうやらないし、大企業による市場創出がグローバル経済の混迷の憂き目を見ているのは明らか。コミュティによる新しい経済=生活市場が期待されている。
☆そういう新し社会づくりのための「ボランティアイヤー」が大切なのである。もちろん、リアルなスペースとサイバーなスペースをつなぐ技術は必須。この技術がなければ、秩序を崩壊するケイオスとケイオスを抑圧する反民主主義から市民は生活を防衛できないのだから。
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