かえつ有明 サイエンス科のビッグバン始まる
☆実は、近年、全国模擬国連にも選抜されて参加するようになっているのを重ねあわせると、その理由、というより意義が了解できる。
☆6年前に豊洲に移転し、共学化し、新校舎も完成したときに、何より大事なことは教育であると。しかし、制度や施設など物質的なものはすぐに出来上がるが、教育という質的で精神的なものは、中高一貫教育であるのだから6年かける必要があると、教師が一丸となり、もちろん紆余曲折、喧々囂々、侃々諤々試行錯誤を繰り返しながら教育の原点から見直し、設計してきた。
☆それが、サイエンス科であり、TOKである。サイエンス科というと、実験だとか科学館見学中心のプログラムかと思いきや、科学的ものの見方をトレーニングするプログラムである。TOKというのはIBのディプロマプログラムの中でも中核のプログラムで、哲学的議論を英語で行う授業である。
☆二つのプログラムの共通点は、欧米のリベラルアーツのベースでもあるクリティカルシンキングである。それを米国のプラグマティズム的発想で、見える化=フォーム化したのである。
☆これによって、すべての教科が横断的に授業を行える。実際、今回のロボット講座も同校サイトによると、こうある。
特別授業としてサイエンス科、英語科、情報科、技術・家庭科(技術分野)4教科協同で、教科横断的な取り組みとしてロボット講座を行っています。
☆そして、特別授業ではなく、通常の教科の授業でもこのクリティカルシンキングは浸透し始めている。論より証拠、2月2日のサイエンス科の入試である「作文入試」の対策講座は、参加受験生40名に対して、英語、国語、数学、情報科の4人の教師のコラボによって行われたほど。
☆ロボット講座の生みの親であるベネッセの小村氏は、19日に見学して、その足でオフィスに戻ってきた。そして別の新しい学びプログラムのミーティングに参加している私のところに飛び込んできてくれて、こう語った。
「既存のロボット講座であるように見えて、今回のは英語で行うニューバージョンの講座ですから、これをすぐに活用できるというのは、かえつ有明の教育は、ものの見方や英語の基盤がしっかり形成しているということを証明していますね」
☆かえつ有明の教育のビッグバンがはじまる音が聞こえた。学校が新しく開設されると、多くの業界人や教育ジャーナリストは、最初の3年間ぐらいは話題に取り上げるが、そのあとは興味がなくなるようだ。しかし、本物の教育は、そんな表層的なジャーナリズムに右顧左眄せず、着々と生徒のために歩を進めていく。そして本物の教育産業は、本質的サポートをするものである。ミーティング後、師走の新宿の街に散っていく、ベネッセのスタッフやサポーターの大学生を眺めながら、そう感じた。
※三枚の写真提供は、グッドスクールコミュニティサイトを運営する㈱スタディーエクステンションによる。
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