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村上太一氏 早稲田大学高等学院出身

昨日マザーズに上場を果たし、話題の村上太一氏は、早稲田大学高等学院から早稲田大学政治経済学部に進んだ。年齢は25歳。自社の株式公開した社長としては最年少という。

☆大学在学中の2006年(平成18年)2月に株式会社リブセンスを設立し、同年4月より求人情報を掲載するウェブサイト 『ジョブセンス』を開設。画期的な求人情報サイトの創出だったようだ。

☆大隈塾生の企画サイト「大隈塾プロジェクト2008」には、在学中の村上太一氏のインタビューが載っているが、これがおもしろい。いく箇所か抜粋。

―――附属高校出身ということで、早稲田大学を選んだのは自然な流れだったと思うのですが、その中で政治経済学部を選んだ理由ってありますか?
村上 1番優秀な人が集まるから、たぶん面白いだろうってことで選びました。正直、授業にはあまり期待していなかったので、人の面白さにフォーカスして選びました。ビジネスをやりたかったので商学部か政経か迷ったんですけど、面白い人が多いだろうということで。実際面白い人も多かったですね。

―――やっぱり面白くないからなんですか?
村上 「教えたい」って本気で思っている先生が少ないように感じます。やはり教師にも明確なビジョンを持っている人が減って来ているんじゃないでしょうか。そういう人の元で授業を受けるのは、あまり乗り気がしないですね。

―――村上さんにとって4年間の大学生活ってどうでしたか?
村上 勉強面を考えたら、絶対周りの人の方が頭はいいと思うんです。ただ僕は勉強してこなかった分、考える機会や人と出会う機会とか、大学で教えてくれないことをたくさん勉強したように思いますね。

☆優秀な学生が集まるところがおもしろいのであって、教師がおもしろいというのではないとは、早稲田大学というのは、やはり学生と同窓のブランドと言うことだが、それでよいというわけだ。そのほうが、大学で学べない以上のことを学べるチャンスがあると。でもこれがMITやハーバード、スタンフォードだったらどうだろう。

☆優秀な学生とビジョンある教授陣がそろっているだろうから、日本は若者の才能を生かす大学はないということかな。みんなが村上氏のように信念をもってブランド名を利用して自分の好きなことで生業をたてるというわけにもいかないのだから、少し考えたほうがよいだろう、日本の大学!

―――今やっている成果報酬型の求人サイト「ジョブセンス」という事業はなぜ思いついたんですか?
村上 僕自身もアルバイトを探す機会があったんですけど、探すときに不便さを感じていました。ウェブ上の絶対的な情報量が少ないなって。それをどうすればカバーできるかを考えた時に、成果報酬っていう掲載費無料のモデルを思いつきました

―――具体的にそれを形にしていく上でうまくいかなかったことは?
村上 1年目はまったくうまくいかなかったですね。正直大変でした。世の中をある意味何も知らなかったので。

―――「知らなかった」ですか?
村上 そうですね、請求書の書き方もわからないし、人の集め方もわからないし… 
わからないことばかりだったので、すべてが大変でした。

―――そこまで順調な秘訣というのは?
村上 すごく単純だけど、頑張っているからですかね。頑張っていた方が面白いんですよ。中途半端でやると面白くない。何をやるにしてもそうだと思います。

☆不便さの解決。よくニーズとかいうが、そこは起業の普遍的ポイントのようである。そして「頑張る」というのも成功の王道。問題解決能力は、実存が生み出したわけである。実存とは、主観が世界と結びついて人々が互いに生きることができるシステムを身体化することというのがリアルに了解できる。

―――将来のビジョンなどは?
村上 「生きる意味」っていうものを考えたとき、誰もが幸せのために生きていると思うんです。何かを選択をする時も、短期的であれ長期的であれ、その人が考える幸せのために選択していると思います。それで幸せっていうのを僕自身が考えたとき、一番キーワードになったのが「幸せから生まれる幸せ」だったんです。

――それがリブセンス社のモットーである「happy makes happy」なんですね。
村上 そうですね、だからビジョンとしては、僕自身がどんどん幸せになることです。僕自身の幸せっていうのは周りの人が幸せになるっていうことだって考えています。

―――「常に意味を求めてしまう性格」とありますが、これは?
村上 何かを始めるきっかけは勢いでいいけれど、それを続けるには意味が必要なんですよね。だから意味は求めます。「なんで生きるんだろう?」とか。これが社名(livesense)にもなっていたり。意味とか目的をもっていないと成長しないと思うので、しっかり持つようにしています。

☆ブータン国王来日以前に本物志向だったということだろうが、ビジネスにおいても意味=意義=存在理由を考えるというのだから、私学人的実存だと思う。

―――やりたいことが分からずに探しているっていう学生が結構いるように感じるのですが?
村上 考える前に何かやってみろってことですね。考えているだけだと今の自分の経験内のことしか浮かばないと思うので、何か動いていかないと何も得られないと思うし、考えても意味ないと思うんです。何か行動をして新しい刺激を入れないと、やりたいことなんて見つからない。

―――村上さんの中では、大学生は「動くべき」ということですか?
村上 そうですね。あと「面白くない」って言っているのをよく聞きますが、面白くなくしているのは自分自身ですよ。どんなことでも本気でやれば面白くなると思うし、勝手に決め付けているだけだと思うんです。

―――選んだからには理由があると?
村上 そうですね。「なんとなく」とか「やらされた」とかすごい負の言い方をする人が多いですけど、絶対自分の意思で選んでいるはずなんですよ。それを自覚せずにいやな気持ちでやるんだったら、ポジティブにやったほうが絶対いい。

☆意味は行動しながら生まれてくるというのも実存的。実存とはリアル充ということでもあるし。主観が、あくまで主観が行動していると渦をつくって巻き込んで関係をつくりそこに生活のシステムができる。自然だって生態系システムは、条件がそろわないとできないのだから。

―――起業する前と後とで変わったことってありますか?
村上 やれるなって思うことは増えました。やりたいことが明確になりましたね。

―――明確に?
村上 あと明確じゃないにしても、なんとなくでも「こうなりたい」っていうのはあると思うんです。なりたい像とか。そこから逆算して考えるっていうのもあり。やりたいことは後付けでもいいと思いますね。

☆よく、目標やゴール、やりたいことが明確じゃない。はっきりさせろと私も言われるけれど、正解ははじめにあるのではなく、後付的に生成されるものである。内生的で、だれかが外生的に導いてくれるわけではない。起業したり、上場したりするかどうかは、選択の問題だから、それを選ばなくてもよいけれど、あらゆるものは、はじめはモヤッとしていて、動きながら意味を求めながら、人々と幸せなシステムを(大事なことは直接あうのではなく、システムを共有するでもよい)つくりながら、目標やゴールが生成される感覚=センスがポイント。

☆村上氏は偏差値的にも優秀だけれど、実際には脱偏差値的生き方。偏差値を逆手に取って、頑張るところは、別次元にシフト。クリエイティブ・クラスってのはこういうことかな。

☆ハーバードでなくてもスタンフォードでなくても、日本はクリエイティブな人材は豊富。だけど、起業してクリエイティブ・クラスになる人材はまだ少ない。欧米では30%から40%いるという産業構造らしい。村上氏もそこで苦労したわけだ。会社設立日本は面倒だから。ともかく、クリアしたけれど。この不便さも起業情報サイトのヒントになるかも。

☆日本国内だけの求人情報だけでなく、世界で生きている日本人も結構就職で苦労しているから、グローバルな社会で、リブセンスは大きく成長する可能性もある。

☆そろそろ、東浩紀的Web哲学者が教科書にがんがん登場する時代ではないかな。そうなったら、時代は村上氏のようなクリエイティブ・クラスであふれるだろう。日本は救われるよ。

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