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困ったときの併願校選択の情報の読み方[04]開成

日能研の「学校情報コラム」開成を見てみよう。これは実におもしろいエッセイである。開成学園の想いとN側の想いがすれ違っているのである。「坂の上の雲」が好きな人は多いだろう。秋山真之と正岡子規が登場。両方とも開成出身。近代国家日本を立ち上げるべく、熱い友情と思索と軍事創造の物語である。

☆しかし、一方で同じ私学人内村鑑三は、当時「非戦論」で日露戦争に反対した。しかしながら、現実問題兵役を拒否できるのだろうか、できないのである。戦争は反対だが戦う役割を認めざるを得ない。開成は、実際には後者のような悩みや葛藤をかかえた人材を多数輩出している。初代校長高橋是清自体がそうである。

☆だから、校長先生は、 世のために尽くし、自立(自律)できる人間を望みながら、「 未知なるが故の無限の可能性から、 既知なるが故の有限の可能性へ変化する時期=選択の時代」と語ったのだろう。「 知力・体力・特力・生活力を育てる」とは、徴兵制も反対はするが受け入れる時代のことを予期しているのかもしれない。

☆だから、「生徒が自立できるよう先生たちは、 一歩下がって遠くから見るようにしています」なのだ。学びの姿勢だけではなく、人生の決断は、自分でせよと。

☆「大学進学のために、ガツガツと勉強をする学校…。 それは本当の開成学園とは、かけ離れたイメージだと思います」というNの筆者の想いはよくわかる。私もそう思っている。出会った受験生がたくさん合格した学校だからこそ、そうであって欲しいと期待はする。

☆しかし、やはり勤勉である。勤勉とは現状の資源を有効活用する。その過程は地味である。突然発想が生まれるのではなく、勤勉勤勉勤勉の暁に、ときに爆発するだろうが、そうでないことが多い。その日常を受容できなければ官僚の使命を全うできないだろう。

☆ジョブスもクリステンセンも、無から創造したものはない。すでにあるリソースを有効活用し、できるだけ効率よくしようと、勤勉に勤勉を重ねるのである。すると新しいものが生まれてくる。その姿は、厳しいし、ガツガツしているのである。

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