学びの自由こそ教育 たとえば栄光と桜蔭の場合
☆国際地学オリンピックのサイトを見ていたら、第5回国際地学オリンピック大会で、日本の高校生も大活躍していたようだ。
☆今年の9月15日の記事にこうある。
お待たせしました。すでにプレス発表もございましたように、第5回国際地学オリンピックイタリア大会にて、日本選手団は金メダル1個を含めて参加選手4名全員がメダルを獲得しました。ただいま選手団は成田空港に元気に到着したところです。
日本選手団総合成績:金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル1名
(26ヵ国、104名参加)
浅見(あざみ) 慶志朗(けいしろう)さん 埼玉県立川越高等学校(埼玉県)3年(17歳)銀メダル
松岡(まつおか) 亮(りょう)さん 北海道旭川西高等学校(北海道)3年(17歳)銅メダル
松澤(まつざわ) 健裕(たけひろ)さん 栄光学園高等学校(神奈川県)2年(17歳)銀メダル
渡辺(わたなべ) 翠(みどり)さん 桜蔭高等学校(東京都)1年(16歳)金メダル
参加国・参加者数ともに大きく増えた今大会でしたが、選手諸君はみごとに健闘してくれました。また、日本女子として初の金メダルというのもうれしい結果の一つです。このほか、国際協力野外調査(国際混合チーム)では、松澤さんが参加していたチームがベストクリエイティビティチームに選ばれました。
☆「地学」というのは「アースサイエンス」というのに、日本では大学入試でそれほど重んじられていない。そういうところから日本の教育政策はズレているが、生徒にとって学びの自由の環境さえあれば、どんどんチャレンジすればよいだけの話だ。
☆IESOのサイトをみればすぐにわかるが、デザインがクール。参加している生徒もステレオタイプな感じがしない。学びは、抑圧的環境から解放されていなければと改めて思う。
☆こういう大会で、活躍する学校の中にしっかり栄光や桜蔭がはいっているのは、やはり学校当局が学びの自由の環境を作っているのか、それともできるだけ放置しているかのどちらかであろう。
☆基本的には、学習指導要領以外何もやらずに、残りの時間をすべてこのような探究活動に生徒自らが取り組む環境を設定するのが望ましい。
☆英語とITと思考力、そしてコミュニケーション行為能力さえあれば、あとは勝手に伸びるというものだ。教育とは、やはり必要以上に教えてはいけない。
☆私立であれ、公立であれ、それならば可能なのである。ただ、私立の場合は、学習指導要領外のところで、世話をやきすぎるリスクがある。公立の場合は、学習指導要領以内に学びを抑圧しようとするリスクがある。
☆そのリスクを回避する一つが、学習指導要領以外の時間で生徒がどんな探究活動をやっているかをみることである。部活もよいけれど、IESOのようなグローバルなレベルのものということ。
☆本当は、通常の授業の中に探求のモデル制作のトレーニングがあるかどうかがわかればよいのだが、そこはブラックボックスの場合が多いから、入試問題でそれを判断する以外にないが。
☆教科横断型とか学際的という言葉を活用する学校も多いが、そのとき数学と他教科のレベルが同じかどうかがわかるとよいのだが、そこも難しい。
☆高度な数学とは、それ自体思考の塊である。思考とは概念を組み立て、新しく創り出し、それによって世界を生成するところまでのシークエンス(知の物語)である。
☆数学は微積という世界やフラクタルな世界を抽象的に生成する。他教科も論文で探究活動をまとめていったり、芸術作品を創ることで抽象的なコンセプトを豊かに生成するところまで到達できる。
☆しかし、大学入試問題に縛られ、あるいは阻害され、概念化や概念の構造を組み立てるところで終わるところも多い。つまり、知の物語は途中で断絶してしまうことも多いのだ。理解はするが生成活動はしないということなのである。ところが、意図するしないにかかわらず、数学はそれ自体生成という操作遂行行為である。
☆この違いがわかっている学校は、学びの自由を解放している。この違いがわからない学校は学びの自由を呪縛している。権利の侵害が行われているといっても過言ではない場合もある。進学重点校の推奨などというのは、そのケースに入る可能性が高いのではないか。同じく結局は進学実績だなんて言っている学校があるとしたら、それもまた同じことがいえる。
☆そのようなシステムの中で、生徒は自ら権利を放棄している場合も多い。それは文理選択という行為。とくに私大文系を選択した場合、数学を放棄してしまう。すると知の物語を自ら編集するチャンスを放棄することになるのである。
☆文系理系にかかわらず、数学を学ぶ環境設定の学校は、最低限の救いの場があるかもしれないが、それを意識していなければ、生徒にとってはストレスになるだけかもしれない。もちろんそのストレスは幻想で、それを受け入れることこそが重要なのであるが。
☆学びの自由が確保されなければ、教育の質は保障されないのである。学びの自由とは思考の自由と等価なのであるから。
☆ところで、同サイトには、こういう嬉しいニュースもある。
下記の大学において、地学オリンピックの成績がAO入試で評価されます。なお、AO入試出願に際して成績証明書等が必要な方は、本委員会事務局(esolympiad[アットマーク]yahoo.co.jp)までお問い合わせください。
■広島大学理学部
■筑波大学アドミッションセンターの国際科学オリンピック特別選抜のページをご覧ください。
■東北大学理学部、東北大学工学部
下記の大学において、自己PRの材料として地学オリンピックの成績が活用できる可能性があります。
■早稲田大学
| 固定リンク
「教育イノベーション」カテゴリの記事
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(+1) 生徒の内なるトルネード(2018.06.27)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(了) 教師力と先進的なティール組織(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(3) 知のトルネード(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(2) 知性と感性の空間(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(1)教育のキーワード(2018.06.25)
最近のコメント