首都圏中学入試2012[35]
☆今年の4月に開校する八王子学園八王子中学は、中学受験市場が厳しい中だから爆発的とは言えないが、今のところ手堅い生徒募集戦略を遂行しているようである。
☆もともと高校の教育リソースが豊かであるから、そのリソースを有効活用していけば、すぐに教育の結果を出せる学校である。
☆それがゆえに、この地域である意味独壇場だった穎明館に挑める学校であり、この八王子から国分寺にかけてのエリアの私学教育のムードを再び創り出す大事なポジションニングにあるといえる。
☆しかも大学実績で競い合えるというだけではなく、アートやグローバリゼーションのビジョンでもトラディッショナルスクールである穎明館とは好対照として映し出されるから、実に楽しみである。
☆早実をはじめMARCHの付属中学がこのエリアには多いが、やはり将来附属の大学に進学することが予定調和的に決まっている環境の志向性が多くなると、チャレンジ精神が沸騰しない。私学市場の活性化や結果的に受験市場の活況にそれほどの影響を与えないという問題が横たわっている。
☆そこに、穎明館と八王子学園八王子中学が、共創的競争を行うのであれば、市場にとってこんな良いことはない。またエリア内の公立中高一貫校も、この2校に大学進学実績において勝てないだろうし、中高一貫教育の質を計画することができない。
☆この質は、教師と生徒の対話力によって差が出る。公立学校の対話力は、コミュニケーションが重要であるといわれていても、制度上それは基本的に上意下達、コントロール型、一方通行型であるという限界があるのである。(あくまで制度論上の話で、公立の教師や生徒という人間存在のことを言っているのではない。おそらく3・11以降国のシステムが制度論上うまく機能しなくなっていることは、多くの人がウスウス感じていることだと思う。)
☆計算合理性のない、量子力学的あるいはゲーデル的なコミュニケーションはできない。対話とは論理のみならず、情意的であり、創造的でもある。
☆客観性という名の権威維持のコミュニケーションは、すでに現代社会に適合しなくなっている。どんなに新学習指導要領で言葉を重視しようと、その言語観の枠組みが89年ベルリンの壁崩壊前の価値観で構築されていたら、なんともはやなのであるが、3・11はそのことを明らかにしたわけである。
☆さて、その中高一貫校の質であるが、果たしてそれは何か?それは、麻布学園、鴎友学園女子、洗足学園、八雲学園、富士見丘、共立女子、佼成学園女子、聖学院、かえつ有明、広尾学園に共通するものである。もちろん表現の仕方はそれぞれ違う。しかし、同構造の質を有している。それはまず感じるものである。そのような学校に行って、感じてもらいたい。
☆そのうえで、八王子学園八王子中学に実際に行って、自分の感じた質感に共鳴共振するか確かめてみるのが一番である。それが何であるかは、いつも語ってきたが、多くの人が興味を示さないし、一笑に付されてもきた。だから、人から聴くのではなく、自分で探すのが一番なのである。
☆ただし、この質の話で大いに盛り上がり、これこそ21世紀型教育なのであると、対話しながら、教育実践をしている学校もまた幾つもある。ただ、まだそこの部分の対話が世間に広く認知されてはいない。もう少し時熟する必要がある。それゆえ、その質がなんであるか、仲間内以外で言うのはいましばらく待つことにしている。
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