首都圏中学入試2012[50]
☆首都圏中学入試の最中に、世界各国の政府や大企業、学識経験者らが集まる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会「ダボス会議」が25から29日まで行われている。
☆新聞各紙によると、今回のテーマは「資本主義の改革」ということのようだ。
☆世界経済の回復のロードマップをどう描くか。資本主義の古いあり方を新たな在り方にチェンジするには何をしたらよいのか。
☆そんな中、2人の才女ドイツのメルケル首相と国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の議論は、勝ち組ドイツの保守vs.EU全体への奉仕というつばぜり合いがあり、資本主義の古いあり方が鮮明になった。
☆どちらも古いあり方で、新しいあり方はいかなる形なのか。そのカギを握ったのは、3・11という資本主義の古いあり方を否定する震災と原発事故が起きた日本だったが、その役割を果たしているかどうか、微妙である。
☆俳優として初めて招待を受けた映画俳優の渡辺謙さんのスピーチには感動したが、NHKなどどのようなコンセプトでサポートしたのか実のところよくわからなかった。
☆資本主義という経済システムそのものの見直しの議論がようやく政治経済界で行われるようになったというのは象徴的で、すごいことだが、これが市民生活にどう結び付いているのか。考えるにはあまりにエリートの戯言のように見える会議であるように思う。
☆結局大統領選や選挙の準備のために、リーダーたちが不在の国も多く、なんだかんだと批判されているメルケル首相と同じ思いであることが露わになった会議でもある。
☆しかし、とにかくチェンジやシフトの時期である。中学入試も応募者減の厳しい状態であるのは、資本主義の在り方の転換期である流れに連動している。偏差値主義とはGDP主義と変わらない。GDP主義は、古い資本主義のあり方の象徴である。大学進学実績が良ければ、そちらに応募者が流れるという志向性はまさに古い資本主義の基盤に依っている。
☆しかし、その基盤は3・11から今も地震学者の今までの予測では対応できない地震が頻発しているのと同じように揺らいでいる。また、その前後にチュニジア、エジプト、リビアで相次ぐ革命が起きた。民主化されていない古い資本主義体制の象徴の総崩れであったのは記憶に新しい。
☆教育の新しいあり方は、震災復興や少子化対策、年金保障の問題が政府・官僚によっては、遅々として進まないと同じように、公立に依っていたのでは遅々として進まないだろう。民間や私学に希望を託そうではないか。その成果を公立が導入することが経済効率を上げるのである。今は教師と生徒のコミュニケーション活動を新たな資本主義のあり方にシフトすることを日々実践すれば、それが実はあとで大きな改革にも結び付く。
☆制度的なことは、あとで私学に学べばよい。実際、公立中高一貫校は、私学に学んだのだ。そのことを忘れてはならない。もっとも、私学を古い資本主義のあり方で学んだから、エリート主義になってしまった。
☆≪私学の系譜≫は、その古い資本主義が立ち上がった明治維新の前夜から、≪官立の系譜≫に対峙して立ち上がったもう一つの近代社会の夢から出発した。その夢の実現のときが、資本主義新たなあり方ということなのである。もちろん、すべての私学が≪私学の系譜≫を保守しているとは限らない。エリート主義の私学もある。しかし、それは≪私学の系譜≫に立ち戻る原点回帰の潜在性まで捨てているわけではない。
☆日和見であろうがなんであろうが、その潜在性を大切にするには、教育産業や各企業の私学の応援が欠かせない。ここがもっとも速く資本主義の新たなあり方を考案できるからである。≪私学の系譜≫はそこと協働すれば、実力を最大限発揮するだろう。
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