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首都圏中学入試2012[52]

☆玉川聖学院という私立女子中高一貫校がある。自由が丘というカジュアルだけれど品のよい人気の街の近くにある。周りは閑静な住宅街。場所もよいし、教育の質もよい。

☆受験生の応募も、昨年に比べれば苦戦しているが、定員確保という意味では問題ない。

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☆しかし、このような良質の教育の学校の生徒応募者数が減少するというのは何が理由だろう。

☆昨年12月、水口中高等部部長(校長)は、「人生の季節の中で」(いのちのことば社)という本を出版した。18年間、学校全体で取り組んできた「人間学」という講座の保護者バージョンにして行った講義録の集大成である。

☆人生の四季を、娘と共に考えるヒントが満載の本であり、これぞ女子教育の本質であり、玉川聖学院とは何かということを知りたければ、本書を読むことをおすすめする。

☆こんなに良質の教育を実践していても、受験生のアイデンティティと玉川聖学院のアイデンティティがマッチングしなくなっているというのが時代なのだろう。

☆かつて人間とは何かを問い続けて人気のあった自由の森学園や自由学園も、良質教育にかかわらず、募集で苦戦している。玉川聖学院は、そこまではいかないが、良質教育を行っている学校の教育が世の中のニーズと合わなくなってくるときもある。

☆中学受験は大衆化したが、グローバリゼーションの時代を迎え、カジュアルと軽さは異なってきた。ストレスレスとおもしろおかしいは違いがあることが意識されるようになってきた。

☆玉川聖学院の雰囲気は、大衆的ではない。かといってエリート主義的雰囲気はまったくない。では何なのだろうか?それが今一つはっきりしない。しかし、正解はいまだほかの学校や領域で示されているわけでもない。新しいニーズは、水口先生のように生徒と保護者と対話しながら生成されてくるだろう。

☆第三の欲するアイデンティティとは何か?良質教育を行っている学校の悩みは同根であろう。自分の子どもの第三の方向性について悩んでいる保護者も同じ痛みを感じているだろう。入試にチャンレンジしている子どもを見守る間、水口先生の本を読んでみてはいかがだろうか。

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