山田顕義物語 日大同窓力の証明
☆昨日2日、TBS系TVで新春スペシャル番組「山田顕義物語」が放送された。吉田松陰の最年少・最後の門下生山田顕義は、五稜郭を攻め、同門の伊藤博文らの部隊が劣勢のときに、迅速に助けるなど日本の小ナポレオンと呼ばれている。
☆少年時代の顕義役は、Hey!Say!JUMPの山田涼介さんで、日本法律学校(=日本大学の前身)を創立した後の山田顕義役を渡哲也さんが演じた。
☆その他の出演者の顔ぶれも興味深い。
吉田松陰・・・・・・・・・合田雅吏
高杉晋作・・・・・・・・・桐山照史(関西ジャニーズJr.)
高松勧兵衛・・・・・・・・名高達男
山田顕行(市之允の父)・・神田正輝
伊藤博文・・・・・・・・・梅宮辰夫
クマ(一膳めし屋の女主人)・泉ピン子
ナビゲーター・・・・・・・船越英一郎、中井美穂
☆高橋是清、渋沢栄一、内村鑑三のケースもそうであるが、山田顕義の場合も、政治経済社会での活躍に焦点があてられるが、彼らはみな私学創設にかかわっている私学人である。
☆特に山田顕義は、吉田松陰と高杉晋作の意志を継ぎ、あらゆる壁を切り崩し、平等な社会建設のために邁進し、軍事力ではなく法の支配と教育によって新国家を形成しようとした。
☆そこで、日大を創設し、29歳で没した松陰の意志を継ぎ、顕義流儀の松下村塾を再興したわけである。
☆今回のTV作品は、1時間半という短さだったので、顕義の生涯や人間関係について細部にわたっては盛り込まれていなかったが、近代日本形成史において、≪私学の系譜≫が大きな役割を果たしていることを明快に放映していた。
☆スポンサーが企業だけではなく、日本大学であったということが、顕義の教育者のキャラクターを掘り起こせたのだろう。
☆≪私学の系譜≫には、福沢諭吉のようなイギリス経済思想のルーツ、江原素六、新島襄、内村鑑三、新渡戸稲造のようにキリスト教のルーツ、そして吉田松陰の松下村塾のルーツが脈々と流れていることは、日本近代史において忘れてはならない研究領域だろう。
☆そして、この流れが≪官学の系譜≫と分岐してしまったのは、山田顕義が司法大臣のときにフランス系の法学を注ぐことができなかった可能性がある。司法大臣としての顕義と松下村塾の門下生としての顕義の葛藤については、まだまだ研究されていない。
☆坂の上の雲に代表されえるように維新前夜のドラマは、多くの日本人は大好きで、歴女といわれるクラスまで誕生している昨今であるが、高杉晋作や坂本竜馬は脚光を浴びても、山田顕義は登場してこない。それはなぜかは、明治憲法制定過程及び民法典論争の過程の中に隠されているのだろう。
☆いずれにしても、山田顕義の志としての法の支配は成立せず、法治国家ができあがった。その時から、現在にかけて戦後教育基本法を除いて、「志」という「一般意志」を捨ててしまい、法実証主義的法律が進化し続けている。この進化のルーツが≪官学の系譜≫なのである。戦後教育基本法が改正された今、もはや志を要する法律は日本には存在しない。
☆官僚国家日本が、山田顕義を掘り起こしてこなかった理由はそこにあるのではないか。しかし、3・11以降、それがいかに形骸化された法システムであり、社会の民主主義の志をフリーズさせてきたかが赤裸々に放映されることになった。そして再び「志」が重要であるという認識を共有する時代がやってきた。
☆今回のナビゲータの船越英一郎さん、中井美穂さんをはじめ、日大OB・OGである俳優、タレント、TV関係者は多い。日大の同窓力が、山田顕義ルネサンスを生み出すことになれば、日本もいよいよ変わるだろう。
☆若き山田顕義像が校庭にあるのは、土浦日本大学中等教育学校。1月6日に第一回入試が始まる。同校は山田顕義の志を大切にしている学校の一つである。それゆえ、松下村塾とはまた違うが水戸学という新しい国づくりの意志をもったカルチャーが残る茨城で、人気のある学校なのだろう。
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