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大学入試から見る中高一貫校[15]

☆やはり、2012年は大学入試においても転機を迎えている。ここにくるまでに、都心回帰だとか東京都の大学のローカル化だとかいう話もあったが、要は場所ではない。よって大学でもないという動き。

☆OECDでは、『「できる国、がんばる国」シリーズ(Strong Performers and Successful Reformers in Education: )では、高品質で公平かつ効率的な視点で秀でた教育システム、あるいはここ10年で大幅に改善された教育システムの政策や実例について検証している』ようである。

☆そこには、各国の質の高い公平性を目標とする教育実践がコンパクトに編集されたビデオがアップされている。

日本については、グローバル経済下で必要とされる技能(スキル)が、知識偏重型からクリティカルシンキングとクリエイティビティを重視したスキルにシフトしている公立学校の様子を描いている。しかも、東日本大震災後、教育システム再建に取り組む様子を映し出しているから、教育改革の信頼性と力強さを訴えるビデオになっている

☆ビデオの裏側に、まだまだ教師が生徒をコントロールしていて、コミュニケーションシステムの改善がなされていないところが見え隠れしているが、学校化社会が、明らかに21世紀型に変化していることがわかるようになっている。

☆この学校化社会の変化に当然大学入試も変化せざるを得ないというのが了解できる。そしてさらに、韓国の電子教科書や電子ボード、タブレット型ノートパソコンを活用したサイバー学校、サイバーハウスの環境を映し出しているビデオは、日本の未来を先取りしており、実は大学がここを目指して変化しようというのがはっきりわかる。

☆やはり、第2のIT革命が、日本の学校化社会では遅れているのである。しかし、クリティカルシンキング、問題解決能力、クリエイティビティを育成する21世紀型学習基盤が先行している今回のビデオを見れば、ハードはあとからなんとかなりそうだという見通しも立ってくる。

☆学習センターは、サイバー上に、あるいはクラウド上に一つあればよく、リアルな大学はもはや別法人ではなく、一つの大きなコミュニティのハブの役割を果たすようになるというのが見える。

☆学校化社会が、格差なき経済成長を獲得するには、偏差値競争や倍率競争はまったくばかばかしい話であるというのが、OECDの立場である。

☆結局一部の私立大学や私立中高一貫校は、そのようなコミュニタリアニズムに対し、理念やビジョンが固定化し、民主化が独裁化にシフトする民主主義のパラドクスを常にリサーチし、そうならいないように創意工夫のテクノロジーを開発する場になるだろう。

☆市場原理は質の競争であり、格差の競争ではなくなる。格差なき経済成長とは、化石燃料や原子力の開発競争からの脱却でもある。そのロードマップのスタートが切られたのが2012年ということだろう。

☆もちろん、言うまでもなく、この道のりは紆余曲折、反動の波もあるだろう。しかし、21世紀型教育、21世紀型学校化社会は、格差なき経済成長のための知の開発に向かっている。第2のIT革命が、いったんはバブルになるかもしれないが、それでITが消滅するわけではない。第1のITバブルがはじけて、さらに進化したように、第3のIT革命がすぐにやってくる。

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