首都圏中学入試2012[56]
☆開成の初代校長は、あの高橋是清。開成から東大に入れるのを理念の一つにしたが、それは近代日本を創り上げるための有為な人材を輩出する目的のための手段にすぎなかった。東京の多くの男子校は、ミニ開成化しているが、大いなる目的はなくなっている。手段と目的が転倒してしまっているわけだが、それが近代の矛盾であり、高橋是清もその銃弾に倒れた。
☆一方、駒込にある聖学院の初代校長石川角次郎は、開成から東大に進んだが、そのとき東大初総理の加藤弘之と激突。啓蒙思想やキリスト教思想を捨ててしまった東大の官僚近代明治国家を支える正当化理論に抗議し、自らは米国に留学、帰国後新しい国づくりのための学校創設に励んだ。
☆石川角次郎は、高橋是清、内村鑑三、新渡戸稲造と同時代人で、それゆえ聖学院も≪私学の系譜≫のルーツ中のルーツである。聖学院はミニ開成化することなく、石川角次郎や高橋是清、内村鑑三、新渡戸稲造と理念を共にし、高邁な志と勇気をもって生き抜く生徒を輩出している。
☆今年の中学入試は、3・11以降の新しい社会づくりの激流の中で行われているわけだが、その激流を新しいエネルギーとしようという≪私学の系譜≫の精神に立ち戻る学校とあくまでミニ開成化でしのごうという学校の違いが明確になる入試かもしれない。
受験生が、受験しているとき、聖学院の教育をもっと知りたい保護者、あるいは直前に子どもに合う学校をやっと見つけて初めて門をたたいたという保護者を対象に保護者会も同時開催。
受験が終了した教科から、保護者に問題の解説を丁寧に講義する機会も設置。
☆前者は私学市場を形成しようとし、後者は受験市場を利用しようとする。どちらに軍配があがるか、わからないが、社会や世界の動きに、中学入試も翻弄される時代になったことは確かである。受験生には、真理を見極めて、入試をたくましく乗り切ってもらいたい。
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