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首都圏中学入試2012[61]

☆厳しい2012年中学入試の中にあって、応募者数を増やしている共立女子のB日程の入試応援風景。正面玄関前は黒山の人だかり。

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☆しかし、玄関から先は、受験生が一人で入らねばならない。保護者は共立講堂で試験終了を静かに待たねばならない。長い一日である。

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☆9時15分、渡辺校長が講堂に表れて、入試の状況を説明。2日目の試験は、前日合格していれば欠席するので、受験率は66%。しかし、これはいつものことで昨年並みだったそうである。体調を崩して試験に臨んでいる生徒も様子をみながら行っているので、安心してくださいという説明などもあった。

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☆おもしろかったのは、突然今受けている国語の問題をちょっとお教えしましょうというサービスまであったことだ。知識問題が少し変わったようだ。知識問題も暗記しているだけではなく、活用できなければということのようだが、これは全教科が考える問題の比率を増やしている一環のようである。

☆帰国生の受験生も多く、その手続きの数も昨年以上だった。どうしてこの厳しいときに、共立女子は人気があるのか。渡辺校長に聞いてみた。

「以前から申し上げているように、もはや右肩上がりの時代ではない。政治や経済のしくみは大転換するところまでやってきている。ポストモダンや高度金融経済は閉塞状況だし、乗り越えられる時代。そんなときに学歴社会に甘んじていいのだろうかと建学の精神やEUの父クーデンホーフ・カレルギー伯爵の思想を継承した≪友愛思想≫の立場から警鐘を鳴らしてきた。3・11以降、本質なき経済優先主義は反省を迫られている。私たちの学校がずっと実践してきたリベラルアーツが時代の要請にマッチしたのではないだろうか」

☆そのリベラルアーツは、もともと公立のナンバースクールでは教養主義として行われてきたけれども、それとはどう違うのかと質問すると、

「内容自体は同じだろうけれど、位置づけが違う。教養主義を身に着けることは東大など学歴社会、官僚社会、財閥などの社会で勝ち組になるための手段であったのは否めない。リベラルアーツはそれ自体が目的なんだね。生活の中に見識をいきわたらせることが目的で、勝ち負けや競争はまったく目的ではない。タイトルや富がなくても知があれば幸せなのではないだろうか」

☆しかし、リベラルアーツというのは、もともと階級社会の上層階級の子弟の教育のためのものだったのではないかと質問すると、

「ヨーロッパではそうだったかもしれない。しかし、日本の私学では、市民たらんとする人間に必要な知であり、それを広く共有することが重要。今ではそれは欧米でもそうなっている。だから共に生きることが標榜されているわけだ。共立女子は、名称にあるように伝統的にその路線だったということなのですけどね。」

☆渡辺校長は、謙虚な私学人であるから、自らは語らないが、時代が共立女子に追いついてきたということなのだろう。そして、そのようなリベラルアーツな雰囲気で、大学進学実績も好調。21世紀を大活躍して駆け抜ける女性がたくさん輩出されることだろう。

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