首都圏中学入試2012[77]
☆「思春期学」は、構成主義の系譜、つまりルソー、ピアジェ、ヴィゴツキー、ブルーナー、シーモア・パパートという「学び学」の系譜である。すなわち、認知科学的ということになるから、ロッド・エリスのSLA(第二外国語学習の科学)であり、コミュニケーションとしては最近接コミュニケーションとアカデミックコミュニケーションの対話編である。
☆中2から高1にかけて、読書をすればするほど、部活をすればするほど、社会や他者との矛盾に気づき問題意識や葛藤が爆発する。疾風怒濤の時期と言われる。
☆この嵐を起こさないように学校文化は、一般に抑圧的コミュニケーションをする。これは、多くの生徒を委縮させ、中には法律を飛び越えてしまう生徒も出てくるが、それは罰則でコントロールする方法である。道徳主義というやつだ。
☆しかし、中高一貫校は、基本は自由と自律と探求を促すから、罰則規定で抑えることはできない。そこでカウンセリングマインドをベースにする心理主義が生まれる。良い方向に転移するように導く方法である。しかし、この問題点はある意味洗脳に近いものがあり、創造的発想の泉に蓋をしてしまう。結局超自我という心理的罰則規定によって抑圧される。
☆そこで、その問題意識や葛藤が重たくなって、それまでの自分の生き方とのバランスが崩れたのを、再び均衡状態にするために、重たい意識や葛藤を閉じ込めるのではなく、今までの自己をトランスフォームするようにメタ認知的に思考する自我を創造するプログラムを構築している私立中高一貫校があるのである。
☆簡単に言えば「創造主義」である。それが鴎友学園女子であり、共立女子であるのは、広く知られている。つまり、リベラルアーツ主義というわけである。
☆しかし、このリベラルアーツは、従来階級社会の子弟で行われていたために、道徳主義や心理主義から解放されていなかった。
☆一部の限られた人間だけではなく、すべての人間に自由と公平を分かち合える、つまり共に生きる条件をそろえながら、そこでリベラルアーツを行うという「思春期学」が必要なのは、グローバリゼーションの影の部分を払しょくし光の部分が広がるようにするためである。
☆「思春期学」とは疾風怒濤のエネルギーをグローバリゼーション(自由と平等と友愛の越境化)の光の部分を広げるエネルギーに変換するためのプログラムである。ここに自覚的に取り組んでいる学校を探していきたい。
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