首都圏中学入試2012[81]
☆首都圏中学入試2012[76]の要領で、東京の女子校を見てみよう。
☆こうしてみてみると、東京の女子校は教育の質で競争がそこそこ成立している。しかし、まだまだ「思春期学」の認識が受験市場でも私学市場でも明確になされているわけではないから、気づかれていない女子校もある。
☆昨年の8月に東京で開催された「第2回男女別学シンポジウム」の内容がPDFで公開されている。ここでも、シングルスクールや別学教育が学力をアップするのに最適であるということがきちんと論じられていて参考になる。男子は男子らしさを女子は女子らしさを伸ばしてあげることが学力もアップさせるのであると。
☆この男子らしさ、女子らしさとはいかにして伸ばすのか?それが「思春期学」である。ただし、「思春期学」は、それを目的にするものではない。さらに個性を伸ばすのである。
☆公立のような男女共学は、教育政策として、上からの教育目標を押し付けてくるから、一人ひとりの個性をみようとしない。個性を大事にといいながら、ステレオタイプで画一的な学力観で階層構造を作り、学歴社会に適用させていく。この階層構造を塾や偏差値のせいにする御用学者もたくさんいるが、もともと文科省の政策による。公立中高一貫校はその象徴である。
☆したがって、このような共学教育では、男子らしさとか女子らしさという個性の構成要素を欠落させるから、個性を形成するときに、足りないピースのまま育つことになる。女子は、具体的説明やスモールステップで教えないと伸びないのだとシンポジウムでは語られているが、それはある意味正しいけれど、もともともって生まれた女子の特徴ではない。それは押し付けられた女子らしさなのである。
☆その間違った女子らしさを解放するには、女子教育や男女別学教育が、現状の社会では重要なのである。もしこの世の中から、男女とか貧富とか、そのような格差がなくなったら、シングルスクールや別学の意義はなくなるかもしれない。
☆しかし、人間はジェラシー、ルサンチマン、煩悩から解脱するようにできている。けしてそのような苦悩や苦しみはなくならない。しかし、そこから解放される生き方はできる。この生き方を望むなら、現状であれば、シングルスクールや男女別学の共学校がよいということになる。
☆だが、本当に「思春期学」を確立しようとするならば、シングルスクールでなくても、別学でなくても、単純な共学校であってもよいのである。しかし、「思春期学」なしの共学校は、残念ながら私学といえども、公立の共学とほとんど変わらない。独自の建学の精神があるかないかの大きな違いはもちろんあるが。
☆大昔の話だが、プログレスを作成したロバート・フリン神父に2度ほどお会いして話を伺ったことがあるが、この男女を別にして教育することが、いかにエゴと偏った愛情から距離を置き、本来的なというか普遍的な愛を育むことができるか静かに熱く語っていらっしゃった。この愛を前提にしなければ個性と知性は豊かにならないだろうとも。
☆そのときは、カトリックという世界だけでの話だろうと思っていたが、男女の差別の歴史のパースペクティブから眺めれば、差別をカッコにいれずに、その中で教育することは、ある意味、いくつも人間性を阻害する壁を逆に分厚くしてしまう可能性もあるということを、世間のものの見方から距離をおける神父の立場だからこそ警鐘を鳴らせたのかもしれないと思う。
☆しかし、やはり神父だから気づくことであって、世間を生活の場としている私たちは、<いま・ここで>そのような壁にぶち当たりながら、壁に押しつぶされないように生きねばならない。学というのはそのためのアイテムである。「思春期学」が必要なのは、そういうわけである。
☆横道にだいぶそれたが、そういう意味では、思春期学も大学進学実績に力を入れている教育にも◎がついている学校は知られざる良質学校である。
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