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首都圏中学入試2012[88/了]

☆昨日はバレンタインデー。中学受験塾では、講師の先生の中には、合格と同時にお別れになるからと、チョコレートを両手に持てないほどもらいながらも、目的を果たせなかった生徒に対する複雑な思いでいる方もいただろう。

☆首都圏は、中学入試から高校入試・大学入試と本格的にシフトした。本シリーズは速報的な意味をもっていたから、今回でいったん終了し、今後は、私立中高一貫校の「学び学(Theory of Learning)」「起業学(Theory of Entrepreneurship)」「思春期学(Theory of Adolescence)」という切り口で、各学校をみていきたい。その前提として、中学入試問題は、学校の顔として、これら3つの学=LEAを含んでいるので、入試問題をその切り口で見てもいきたい。

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(総務省「労働力調査速報最新版」:平成10年、11年は、私学危機だった。今回も失業率と呼応しているかもしれない。このグラフ推移は改善なのか、嵐の前の・・・なのか)

☆LEAのうち、各学校が「思春期学」をどのくらい重視しているかは、サイトをみればある程度わかる。今までの思春期に関する学問は、心理学的接近か身体的あるいは健康に関する観点から接近するかであったと思うが、ここでいう「思春期学」は感性と理性、知性の統合学である。

1)行事をみればまず、葛藤乗り越えプログラムがあるかどうかがわかる。一部の生徒がリーダーであるプログラムが少なければダメ。すべての生徒に葛藤乗り越えの仕掛けが組み立てられていなければならない。だから、すべての生徒がリーダーになるチャンスが用意されるだけの数のプログラムがあるか、実は一つのプログラムで全員がリーダーになれる仕掛けを作ることができる(これはリーダーシップの意味がかなり革新的)から、どちらかがあればよい。

2)またクリティカルシンキングを養成しているプログラムがあるかどうかでもわる。

3)アートや読書のプログラムが教科横断的影響力を持っているかどうかでわかる。

4)生徒の成長を部活や文化祭以外の部分で語れるかどうかでわかる。

5)カウンセラーにまかせきりではなく、感性教育と理性・知性教育を統合するプログラムがあるかどうかでわかる。ドラマやコンテンポラリーアート、編集活動、ディスカッション、ディベート、オーケストラ(吹奏楽ではなく)、プロジェクト型学習などの演戯としての要素を含むパフォーマンス・プログラムがあるかどうかということ。

☆これらが、6年間一貫のプログラムとして存在していたら、その学校には優れた「思春期学」があるはず。これはサイトやパンフレットからわかるし、受験雑誌でもわかる。

☆意外とわからないのが、「学び学」「起業学」である。これらは「教授法」と「進路指導(キャリアデザイン)」に隠れてしまう。それゆえ、もっともその学校の教育の質を表している入試問題でそのヒントを探すのがよいだろう。

☆「教授法」の中に、知識コミュニケーション以外に最近接コミュニケーションが埋め込まれていれば、そこには「学び学」がある。進路先選択進路指導ではなく、進路先創造イノベーション型進路指導であれば、「起業学」があるのであるが、そうなるためには、学校全体が教職員も生徒どうしも学びの組織になっていなければならない。学びの組織になっているかどうかは、学校説明会では、いまのところ校長あるいは教頭クラスのリーダーの語りの中にほんの少し見え隠れするだけである。

☆保護者がどのように情報を収集できるのかそのあたりを探っていこうと思う。おそらく入試問題をみる目を養うことで、それは可能だと今のところ思っている。もちろん解き方は子供に任せればよいのであり、問題作成のコンセプトの解釈方法である。

☆さて、転機の中学入試のシーズンに、シンクロするように、EUの経済危機の動向が話題になったし話題になっている、新しい資本主義構想ビジョンはうまくいかなかったもののパラダイム転換を高らかに謳ったダボス会議も開催された。東大の秋入学の話題も少し盛り上がった。原発問題はさらに危うさを増している。シリア、タイ、チベットの問題も噴出している。そしてここ数日橋下市長による「船中八策」が大きな話題になっている。

☆転機といっても、ポジティブな局面に向かえばよいのだが、ネガティブな局面を迎えるということも大いにある。

☆特に「船中八策」は、政治家や評論家の多くは、夢物語だ空想だ論拠がないと批判しているが、現状維持を主張しているだけにすぎない。したがって、何かやってくれるんではないかと期待を寄せるタレントの影響を大衆は受け入れるから、政局はまさに大きく動く可能性がある。だいたいヒットラーが、論拠のある政策を提案して政権を奪取したのだろうか。

☆橋下市長のやり方は、基本はバラエティ型プランニングである。批判している政治家や評論家もテレビで論じているだけで、たんなる登場人物の役割を果たしているに過ぎない。AKB48と同構造のプランニングだろうから、今の若者は夢だけ見て実現力がないなんて高をくくっていると、そんなはずはなかったということになるだろう。

☆いずれにしてもこの勢いは止められないだろう。ナチも民主党も止められなかった。ことが起きて破壊されなければ、わたしたちはわからないのである。だから、一定の中学しか受験せず、ダメだったら高校入試でリベンジという風潮がすっかり定着してもいる。受験生の減少に拍車をかけている受験市場のなりふり構わないマス的な動きである。だから、私立中高一貫校に託するのは、その破壊のあとから、あの戦後共に生きる教育を復活したように、再び復活できる準備をしてほしいということである。この準備をするのが、転機の中学入試の道なのかもしれない。竜馬のパロディとしか言いようがない「船中八策」に対抗するには、私立中高一貫校の“ARK Noah”プログラムしかないのか・・・。

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