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大学入試から見る中高一貫校[22]

☆今年の東大の英語の自由英作文の問題。

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☆英作文だから、たんたんと解答すればよいだけなのだが、この作問を出した以上、出題者はコミュニケーションに無関心ということはないだろう。

☆第2のIT革命は、コミュニケーション革命でもあるのだが、この問題はどうつながりがあるのだろう。

☆もちろん、直接的なつながりなどない。この問題設定ほど、20世紀型であるものはないのだが、それが入試問題で、内容を全く考えないで、たんたんと解答する素材として使われていることに、もはやその深刻さがどうでもよくなっているということが示されているのではないか。

☆つまり、他人の心を読むのは難しいという設定は、すでに昔の心的モデルにすぎず、それゆえ深く考えずに英語に直せるのである。

☆今では、他人の心は読めてしまうのである。しかし、その真偽は、本人がそれを認めない限り、読めているとは言えない状態が続くだけで、コミュニケーションとは心を読むことではなく、リスペクトする信頼関係をつくり、お互いに読めてしまった内容を共主観として形にしていくことなのだ。

☆逆に言えば、20世紀は心は読めないものであると設定していたのである。だから、読めていると思うことは主観にすぎないと。

☆しかし、コミュニケーション革命は、その前提を覆してしまっている。初めからわかっているが、共主観にしないかぎり、理解は生まれないという流れ。わかろうとすることから、共通の理解を創ろうとすることへのシフト。

☆一人ひとりの思いはデータに過ぎない。そのデータに基づいて、共通のものを創り上げていくことがコミュニケーション。その個々のデータを掘り起こそうとするのは、20世紀型コミュニケーションということ。

☆となると、今までの大学入試や大学の制度、初等中等教育の制度は、個々の心や脳内に蓄積されたデータをチェックしているだけで、何も生み出さないシステムであるということになる。新学習指導要領の「新」の意味は、実はただ量的変化にすぎず、コミュニケーション革命を見据えてはいないということ。これは問題である。

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