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大学入試から見る中高一貫校[26]

☆大学合格実績がでるには、理由がある。

①予備校的な授業の実行。

②英語力の強化。

③多言語による論理的思考とリベラルアーツによる教養の育成。

☆これらを複合的にプログラムするところがほとんどだろうが、力点をあるいは軸足をどこにおくかで違いがでる。

☆もっとも簡単に実績が出るのは、①や②の実施である。しかし、これには「思春期学」、つまり世界を読み取り、世界を創出する教養は身につかないから、大学に入ってから、あるいは大学卒業後大きな壁が待っている。

☆高学歴でも、自己否定感の強い人間観ができあがる。安定・安心・官僚、優勝劣敗、超個人主義といったキーワードがメンタルモデルを形成してしまう危険性がある。

☆一方、③による教育実践は、大学入試問題が知識偏重であるとすると、実績がでにくい。それゆえ、受験市場から、夢を見ているとか理想主義だとか、理念なんか捨ててしまえと揶揄されたり罵倒されてきたりした。

☆しかし、どうやら大学入試問題は、論理思考や教養をみるコードを埋め込み始めた。外生的ではあるが、秋入学やクオーター制の話題は、そこへシフトする予兆である。

☆慶応の入試問題は、久しい前からそうなっているが、さらに強化が進んでいる。東大の英語だけで講義を行うコースの募集を今春からし始めているのもそのトレンドであろう。

☆高校入試回帰とかいう話もでている中、一方では「思春期学」を埋め込んでいる私立中高一貫校の重要性は増している。

☆たとえば、佼成学園女子の場合、毎年大学進学実績はレコードを更新しているが、そうなる理由が明快になってきている。同学園は、英語の佼成と言われているので、②に軸足を置いているようにみえるかもしれないが、英語の教育に取り組むときに「英検まつり」というイベントに象徴されているように、教師と教師、教師と生徒、生徒と生徒が「チーム」活動を行っている背景がある。同サイトにはこうある。

「英語の佼成」と言われるだけあって、英検にはとても力を入れている佼成女子。その英検の最難関である1級(大学上級程度の英語力)に、今年度は本校から3名も合格しました。いずれも特進留学コースの高3の宮本真菜さんと高1の細山侑里さん、そして今回合格した高3の青山由里杏さんです。青山さんも、学校での勉強と英検問題集だけをコツコツと続けて合格を勝ち取りました。

☆「チーム学習」ができるということは、単純に英語に力を入れているのではなく、「思春期学」を実行しているということを示唆する。青山さんは、こう語っている。

「合格に向けて『成長のために必要な過程』とたえず励ましてくださった先生方、貴重なお時間を筆記対策や面接練習に注いでくださった先生のお導きがあって何とか今日の日を迎えることができました。地道に一歩一歩前に進むことの大切さを改めて思っております。ありがとうございます。」

☆何を言いたいかというと、合格は自分の道を歩むときの手段であり成長のために必要な過程である。その手段を講じながら道を開いていく過程こそリベラルアーツ型教育であるということなのである。このリベラルアーツとしての「思春期学」がある学校で育つと、自己マスタリーが可能になり、どんな壁も味方にして、道を開いていけるようになる。

☆佼成学園女子もそのようなグッドスクールの一校である。

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