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いっしょに庭をつくろう♪佐渡裕さんや今井久美さん

☆あの3・11から1年そして1週間が過ぎた。各国で祈りと感謝とエールをおくる集いがあった。テレビ朝日の「題名のない音楽会」でも、この1年間数々のチャリティーコンサートを行ってきたが、今朝はその集大成した番組を放映していた。

☆ノートルダム寺院やパリのユネスコ本部でのコンサートに集まった演奏家の気持ちに感謝しないでは見ていられなかった。

☆そして、バーンシュタイン作曲の「キャンディード」から「僕らの畑を耕そう」の演奏に改めて驚愕。考えてみれば、このミュージカルは、もともと原作はヴォルテールの作品。善悪の彼岸を超えたところで、「僕らの畑を耕そうよ」という、ルソーとはまた違うけれど、同時代人の啓蒙思想家の精神が今も継承されていることに気づいたからである。

☆この精神、明治維新のある時点で、つまり富国強兵・殖産興業の路線が開始されたあたりで、明確に捨てられた。社会進化論、法律進化論の一つの方法論が突き進んだ。

☆帝国こそが善であるということ。もちろん、戦後見直され、ともに畑=ガーデンをつくろうよと自然法論が復活した。社会進化論の正当化理論も自然法論の正当化理論ももちろん東大から発出しているのが、東大ピラミッドのパラドクスであり、たんなる東大合格ランキングを競っている場合でもないのだが、それはともかく、自然法論は、その後すぐに隅に追いやられた。分析法学が主流になった。経験主義的というか・・・。

☆しかし、3・11以降、再びその本質は存在しないという考え方に反省を迫った。それゆえ、啓蒙思想の精神が流れている「僕らの畑を耕そう」=「Make our garden grow.」が、高らかに響いたのには意義を感じたのである。

☆富国強兵・殖産興業という開発土建国家路線は、≪官学の系譜≫であり、庭づくりをいっしょにしようというのは、≪私学の系譜≫なのである。最後の国土計画「五全総」が、土建国家から庭園国家にシフトチェンジしたことは一つの大きな転機であったが、ガーデニングという商品市場が一時活性化しただけで終わってしまったのは残念だった。しかし、東急沿線に私学が立ち並んでいる姿を見て、見果てぬ渋沢栄一と五島慶太の夢「田園都市計画」が継承されている。まだまだ「庭園国家づくり」も捨てたものではない。

☆ともあれ、≪私学の系譜≫の本質は、法人型NPOである。大切な人々の生活と命のみならず、さまざまな政財界の本質を軽視する事業まで吹き飛ばした被災地は、今や本質の種が植えられ、人間と自然の本質的かかわりの芽が生まれているガーデンになっている。もちろん、そう簡単ではないが、そこで多くの人と絆とつながり=ナナメの関係をつくって、「共にガーデンをつくっている」一人の女性がいる。それが今井久美さん。彼女のメッセージをご紹介しよう。

こんにちは、NPOカタリバ 山内です。

東日本大震災から、先週末で1年が経ちました。
改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。


カタリバでは、被災地の放課後学校「コラボ・スクール」を
開校してから、もうすぐ最初の年度を終えます。
http://sfml.jp/?c=39902&o=00Q10000005qWoJEAU&v=05759618


今回は、震災以降、宮城県・岩手県に住みながら活動してきた、
代表理事の今村久美よりメッセージをお届けします。



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 カタリバの今村久美です。

 いつもカタリバのメルマガをお読みいただき、
 ありがとうございます。


 そして、ごぶさたしてしまっている方も、
 多くいらっしゃると思います。

 私は震災以降、宮城・岩手と東京を
 行ったり来たりしながら、生活をしていました。


 昨年夏までは避難所で寝泊りしながら、
 今は岩手県大槌町のシェアハウスで皆と暮らしています。
 コラボ・スクールを立上げるため走り回ってきて、
 先週ようやく、中学3年生の高校受験が終わりました。

 発表まで、生徒全員の「合格!」を祈って、
 ドキドキしながら過ごしています。


 この1年間、被災地で子どもたちと接してきて、
 嬉しかったことがあったので、皆さんに共有させてもらいますね。


 それは、目をキラキラと輝かせながら、将来の夢を話してくれる
 子どもたちに、たくさん出会えたことです。



= = = = = = =


 私たちが立ち上げた「コラボ・スクール」は、
 被災地で、勉強する場所を奪われた子どもたちに、
 学習指導をする、放課後の学校です。

http://sfml.jp/?c=39903&o=00Q10000005qWoJEAU&v=85858107


 なぜ私は、東北に行こうと思ったか?

 もちろん、「可哀想な子どもたちのために何かしたい」
 という想いもありました。でも、一番の動機は、

 「この被災地で、たくさんのものを失った子どもたちの中から、
  10年後に日本を支えるイノベーターが、
  生まれてきやすいのではないか?」

 そう考えたからです。


 たしかに、震災による悲しみは、
 子どもたちにとって、抗えない現実です。

 私が今、大槌臨学舎で受けもっているクラスでも
 26人中7人の生徒が親を失いました。

 ふとしたことで、家族の話題になると、
 目に涙を浮かべる子どもが、今もいます。



= = = = = = =


 でも、その悲しみに向き合うのが、彼らの課題でもあります。

 この現実を受け入れて、自分自身で乗り越えていく。

 そのために私たち大人ができるのは、
 彼らに寄り添って、“悲しみ”を“強さ”に変えるための
 学習機会をつくってあげることです。


 私たちは、コラボ・スクールで「勉強」を教えています。

 「何をやろうとしても、力が出ない・・」

 震災後は、そんな風に落ち込んだ子どももいました。

 彼らが、勉強を通じて「できることが増えた!」
 「昨日の自分より、一歩前に進んだ」

 そう実感することで、意欲が回復してきている。
 学ぶことが、心のケアにもなっているんだと感じます。



= = = = = = =


 私が今いる大槌臨学舎で、親御さんたちから
 喜ばれていることがあって、それは、

 全国からボランティアさんが1週間単位で来てくれて、
 代わるがわる勉強をサポートしてくれることです。


 生徒たちは、「はじめまして」「ありがとう」、そして
 「さようなら」を、たぶん日本で一番多く言う子どもでしょう。

 コミュニケーション能力は、確実に育っているし、
 なにより、震災前なら出会うことのなかった職業の方々、
 大学生たちと勉強の合間に話すことで、

 これまでは身近でなかった、広い世界を見通しながら、
 大きな未来を、思い描きやすい環境が整ってきています。


 子どもたちが、震災の悲しみを乗り越えるのに伴走し、
 かつては与えられなかったチャンスを提供することで、

 感謝の気持ちと明るさ、そして力強さを持って、
 新しいことに挑戦する人が、この地から生まれるだろう。

 そんな思いは、彼らの語ってくれる将来の夢を
 聞いて、強くなりつつあります。



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「避難所でやさしく励ましてくれた看護師さん
  みたいに、将来なりたい」

「福祉の仕事でお年寄りの方々のために働きたい」

「前は保育士になりたかったけど、病院で働く姿がかっこよくて、
  震災後、薬剤師を目指すことにしました」

「女川町はこのままではいけない。
  自分が女川町を支えられる人間になりたい。」

「ここで集中して勉強して、消防士になる夢を叶えたい」


 日本中と比較しても、公共心を持って職業選択を
 目指す子どもたちが、本当に多くいます。

 私のクラスでも、看護師志望が半分で、
 福祉の仕事が1/4、自衛隊希望者も2人います。

 “主体性”、そして“公共心”をもった子どもたちが
 育っていること。

 この事実は、とてつもない被害と悲しみをもたらした
 震災の「希望」とも言える一面かもしれません。



= = = = = = =


 実はこれを始めた当時、「この活動は3年間をめどに
 終わりにしてもよいのではないか」と思っていました。

 子どもたちが奪われた“学ぶ場”を確保して、
 失業した地元の塾の先生たちに、“雇用”を提供する。

 地元の方々の独立を支援して、私たちは徐々に
 手を引いていけばよいのではないか、と。


 でも今、行政や学校、地域の方々、そして全国から集まった
 ボランティア、遠くから見守る寄付者の皆様など、
 さまざまな立場の人たちの力がコラボレーションして、
 今までになかった、新しい教育のカタチが生まれようとしています。


 被災地に限らず、この日本では“ナナメの関係”は
 不足しています。子どもたちが希望をもって
 未来をかたち創るための環境も、十分とは言えません。

 このコラボ・スクールは、そんな日本、特に同じ過疎地に、
 新しい教育のモデルを提示できるのではないか?

 そんな可能性に、胸をワクワクさせています。



= = = = = = =


 生徒たちが震災という悲しい体験を“チャンス”に変え、
 たくましく育っているのを目の当たりにするなかで、

 「子どもたちを支える機能さえあれば、
  この東北から、誰よりも強く、そして優しい
  未来のリーダーが生まれるはず」

 この1年間、信じてきたことが、少しずつ
 現実へとなりつつある手ごたえを感じています。


 資金や人材など、現実的な問題はたくさんありますが、
 私は、このコラボ・スクールを3年以上続けたい。

 今は、そう思っています。



= = = = = = =


 もちろん、これはカタリバだけでは、できません。

 大事なのは、たくさんの大人たちが少しずつでも
 教育に関わってくれるように、
 “居場所”と“出番”を用意すること。


 ボランティア、寄付、そしてさまざまな形での連携。

 これまでたくさんの方々に関わっていただき、
 ありがとうございました。

 これを読んで興味をもった方は、ぜひWebをみて、
 あなたなりの関わり方を考えてみていただければ嬉しいです。


【一人ひとりが参加してできた、被災地の放課後学校】
 http://sfml.jp/?c=39902&o=00Q10000005qWoJEAU&v=05759618


 それでは、長文にお付き合いいただき、
 ありがとうございました。

 今後ともコラボ・スクールを、そしてNPOカタリバを
 どうぞよろしくお願いいたします。


 今村久美 〜岩手県大槌町より〜



 P.S.

 3月11日。皆さまはどのように過ごされましたか。

 私は大槌町で、海岸供養に参列しました。

 いろんな宗派のお坊さんのお経とともに、
 お花を海にお供えしました

 この1年間、本当にたくさんの方々に応援して
 いただきました。ご寄付いただいた方など、
 遠く離れた皆さまの分を、献花しました。

 ※写真→ http://sfml.jp/?c=39904&o=00Q10000005qWoJEAU&v=b1b7e8d8




> > > 最近のカタリバのニュース

 ・女川向学館で卒業式を催しました(第2部では“カタリ場”も)
   http://sfml.jp/?c=39905&o=00Q10000005qWoJEAU&v=3147ffc7

 ・毎日新聞の社説に掲載されました (「NPO革命」を進めよう)
   http://sfml.jp/?c=39906&o=00Q10000005qWoJEAU&v=6b26c0a7

 ・「やくそく旅行」大槌・女川の卒業生が上京します!
   http://sfml.jp/?c=39907&o=00Q10000005qWoJEAU&v=ebd6d7b8


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