中央大学理工学部 画期的能力開発アセスメント開発②
☆学部生や院生の有名企業内定取得者らから情報を集め、4つのタイプの面接時の質問に有効な回答ができるコンピテンシーをシミュレーションしているデータだった。配布資料では、28項目について詳細に分析しているが、本ブログでは能力も時間もないので、上記のグラフのように7つのトピック・コンピテンシーの平均レベル値を算出して、4タイプの傾向をみてみた。
A:研究課題(ゼミ・卒業論文等)または興味ある科目
B:授業に関する勉学以外に力を注いだこと(例えばスポーツ・文化サークル活動等)
C:志望理由(取り組みたい分野)
D:自己PR
☆すると、Cタイプは問題解決能力が非常に有効であり、Dタイプでは組織的行動能力と自己実現力が重要なコンピテンシーであることがわかった。
☆Cタイプの取り組みたい分野に関する質問に対して、問題解決能力が見られるのは、ある意味当然であるが、Dタイプの自己PRでは、コミュニケーション力や自己実現力のアピールに時間を割きがちではないだろうか。組織的行動能力をPRするのは、意外と難しいだろうし、このように予め情報があるのとないのとでは、戦略も変わってくるだろう。
☆ワークショップ型やディスカッション型の就職試験も一般化しているので、グループワークでチームビルディングやリーダーシップの力量をアピールすればよいと思っているとそこには落とし穴があるということか。
☆いずれにしても、このプログラムは、フォーマティブアセスメントというOECD/PISAで採用されている方法論にも通じる世界標準型で、21世紀型イノベーターとしてのニーズに応える人材育成プログラムであろう。
☆学生は7つのトピック・コンピテンシーの強みや弱みをなんとなくイメージできるだろうが、その強みや弱みをいかにして活用できるのか?それにはさらに詳細なコンピテンシーのコード化が必要なのであるが、それが果たされている。
☆したがって、組織的行動力をトレーニングするためには、「バランス力」を鍛えるのか「役割認識」を鍛えるのか、「率先力」を鍛えるのか・・・と自分で自分をモニタリングすることができるアセスであり、プログラムなのである。
☆もちろん、それぞれのディテール・コンピテンシーを鍛えるには、議論をしたり、読書をしたり、スペシャルなプログラムに参加する必要がでてくるが、どのコンピテンシーを鍛えると効果的なのか計算可能性が大であるのが、このプログラムの特徴だろう。
☆また、中等教育にも影響を与える点としては、従来はスキルとか知識は、客観的なものを転写されるように教え込まれてきたのだが、実はコンピテンシーを通して、与えられたスキルや知識は再構築されるものであるという学びのコペルニクス的転回をせまるということだろう。
☆ハードパワーとしての学力低下是正から、ソフトパワーを育成する段取りを中等教育段階でいかに組んでいくかが、今後の教育改革の大テーマになる。実は新学習指導要領も構成主義的な学習観に立っているが、果たしてそれがどこまで現場に浸透しているかはわからない。
☆「段階別コンピテンシー教育」のような具体的な提案がなされない限り、教育現場は何も変わらないだろう。
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