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ICUのコモンセンスの広がりに期待

☆サンデー毎日は、「秋入学」について各大学人にインタビューし、その記事を連載している。「2012年4月15日号」では、国際基督教大学(ICU)の日比谷潤子学長のインタビュー記事が掲載。その堂々たるコモンセンスの軸に基づいて、ブレない回答に敬服。

☆東大の秋入学構想について、ICUはもともと国家の枠を超えた大学が故に、その構想は初めから実施している。「国際化」のために、他大学も計画を立てることは大切だが、授業を形だけではなく実質的にセメスターにできるかどうかはなかなか難しいですよと、アドバイスも忘れない。

☆ギャップタームというと、旅行会社や教育産業が留学プランをすぐに商品化するでしょうが、その前に、留学先で学ぶ態勢が高校卒業段階で養われているかどうかが結局大切。

☆リサーチ能力、ディスカッション能力、編集能力、プレゼン能力を身に着けてから外に出ることをしないとうまく機能しないのではないかと。また、海外の犯罪やドラッグなどのリスクに対する回避能力やセルフコントロールも高卒時点ではどうだろうと。これは、今始まったことではなく、その時期に留学すると解放感でいっぱいになり、自制が効かなくなる例は山ほどあるのだ。

☆サンデル教授と同じ質で、英語で講義ができる教授陣をどうやって集めるのか、外国人の中には日本語を学びたくて留学してくる学生もいるから、なんでも英語というわけにはいかない。もちろんICUはすでにそれらの問題はクリアしているわけですがと。

☆そして、本当にグローバル人材にとって大切なのは、

複数の言語が完全にできなくても構いません。自分の持っている複数の言語能力ををうまく組み合わせながら相手と交渉し、いろいろな事態を切り抜けていく、そういう力が求められているのではないでしょうか。

☆そしてこの意味でのグローバル人材を育てるために、リベラルアーツに力を入れ、それに基づいた大学院教育を実践しているのだと。

☆ICUにとって「グローバル人材」という概念、「リベラルアーツ」という概念は、政財官がイメージしているものとは真逆である。政財官はすでにある体制が従来の様に単純ではなく入り組んできたから、それを整理し、問題解決をする専門知を鍛えようとしているが、ICUは、すでにある体制や今後の時代は、ケイオスだし複雑系で流動的だから、整理してもすぐに元の木阿弥。だから、常にディスカッションによって知のインターフェースを柔軟にコラボしていける高い思考力を身に着けようとしているのである。

☆日比谷学長の語るように、そのような意味でのグローバル人材を養う大学教育のリフォームは秋入学だけで果たせるものでもあるまい。しかし、ICUが存在しているのだから、ICUモデルを取り入れ乗り越える大学が次々と現れなければならないことも確かなのである。

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