キャリアガイダンス№41「子どもを支える仕事」リクルート
☆リクルートが編集している≪キャリアガイダンス№41≫の特集は「子どもを支える仕事」。具体的な仕事の紹介は、実にわかりやすい。参考になる。
☆未来からやってきた留学生という言葉がずいぶん前に流行ったけれど、実際の留学生にもあまり最適な学びの環境を形成できない日本社会。子どもを支える仕事に関しても同じことがいえる。そこでがんばっているよい若者がいるのに、その若者を支える環境があまりよくない。
☆そんなことを思いながら、今号のフロントメッセージは誰だろうと思い、ページを逆戻りにめくっていったら、なんと五味太郎さん♪世の中の限界や壁をあっさり乗り越える越境のアーティストだから、わくわくしながら読んだ。すると、こうあった。
将来のことなんて誰にもわからないよ。確かに今の世の中は問題がたくさんあってふざけたことになっているとも思う。そんな中で子どもにまともに生きろって言うほうが無理なんだよ。だから「希望の道標」って一回忘れないとだめ。その「希望」も、「道標」なんてものは社会にはなくて、それぞれの個人の意識の中にしかないんだよね。俺はうまれてからこれまで「五味太郎」をずっとやってきたし、これからも死ぬまで五味太郎をやっていく。いろいろ模索しながら生きていく。そこには希望はあると思うよ。
☆そうですね。ただし、五味太郎さんのような個人が育成される社会はやはり必要である。ところが、みな五味太郎さんのようになったら、今の社会は成り立たない。初めから優勝劣敗思想が埋め込まれているからだ。
☆制度の前提が変わらない限り、社会は変わらない。常に対処療法で、救われる人は救われるけれど、そうでない人はかならず取り残される。それが社会だというのは、少し早合点。それが「今の」社会だというのが正しい。
☆であるならば、変えられる。子どもたちを支える仕事というのは、この制度の前提を問い返す学びが仕事の中に埋め込まれていない限り、支えていると思いながら、優勝劣敗の社会を支えることになってしまう。原発の問題と同じ構造である。
☆アンナ・ハーレントが「労働×仕事×活動」を人間の条件の重要な要素であると語ったたが、日本社会には、この中の「活動」が生きる糧にならないシステム。だから生きるためには仕方がないというあきらめが先に立つ。居直って、現実こそ大事だ!能書きなんていらないとふざけたことをいう経営陣がいる。もちろん、成功している企業は、企業価値が自然と精神と社会がエコロジカルにつながる経済活動を形成している。
☆しかし、子どもを支える仕事は、エコロジカルな経済活動になっていない。偏差値に依存していたり、税金に依存したりという、学び生態系を無視した優勝劣敗市場か、配分市場をベースにしている。
☆お金をかせぐのはおかしいとかいう価値観もある領域。お金はコミュニケーション言語の一形態にすぎないから、それを否定することはコミュニケーションを切断することである。
☆その切断は、権力の不均衡を生み出す。そこにパワハラ、アカハラの温床ができるのである。そこを取り除く問い返しシステムの活動が埋め込まれていなければ、子どもを支えることなどできない。
☆だいたいいつまで子どもなのか?フランス大統領選が話題になっているが、90%の国は18歳から成人だし、選挙権も18歳からだ。フランス大統領の場合は、いろいろ制約があるのだが、18歳から被選挙権がある。そのような社会では、社会システムを問い返す言論のトレーニングが中等教育なのだ。
☆日本社会は、偏差値の鉄鎖につながれ、全体意志や同調雰囲気の中に組み込まれていく大学入試や就職試験の洗礼をよしとしている。そんな社会に希望はないだろう。偏差値のように他者から価値を押し付けられるのではなく、希望は自分の内側にあるという五味太郎さんの言葉にこそ希望はあるということだろう。
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