JGのメッセージ
☆今年4月、女子学院(JG)の院長に風間先生が就任されたが、先生のメッセージが同校サイトに掲載されている。それを読んで、やはり私立中高一貫校のリーダーはこうでなくてはと改めて感銘を受けた。
☆というのも、やはりたんなるインフォメーションではなく、精神を表す言葉の背景を問い直し、導き出すメッセージをきちんと述べているからである。そしてそれゆえ、決して短い文章などではない。校長の話やサイトの文章の文字数は少なめになどと受験市場対策広報方法として、トクトクと語る人も多いが、そういう表層的な話にまったく与しない姿勢が爽やかである。
☆たとえば、女子学院生活の根底を支えている「キリスト教精神を基盤とする教育理念」について話をされたときに、「礼拝」の意味について問い返されている。しかも、その証言をOGを例に挙げて語っているので、なおさら共鳴を呼ぶ。
☆ICUに進学し、国連に勤め、国連の国際環境計画の要となったバーゼル条約の事務局長を務めたOGである桑原幸子さんの証言。日本人の女性として、緒方貞子さんと共に、国連の役職に就いた数少ない3人の女性の1人だそうであり、JG時代に次のような思いを巡らしていた学園生活が、彼女の人生の基礎となったという。さて、JG時代の桑原さんは次のように考えていた。
『・・・・・・最近、私は重大な事を発見しました。発見というより教えていただいたのです。それは礼拝というものについてです。礼拝というのは、朝と夜に讃美歌を唱い聖書を読み、お祈りするものだと思っていました。だから、ホームルーム礼拝の時、「皆さん礼拝というのは、どんなものだか判りますか」と先生がお話しを始めた時、びっくりしてしまいました。「例えば、庭の花がきれいだなと思って、そこで、神様はこんな美しい花を私達に見せて下さった。と感謝する気持、それが礼拝なのです。皆さんも、一日中礼拝をしている様な人間になりましょう」とお話しして下さったのです。私はそのお話しを聞いてから、一日中礼拝している様な子になろうと思いました。しかし、なかなか大変です。毎朝礼拝の時「神様、今日こそは必ず守れますように」とお祈りするのですが、夜お祈りするときも「神様明日は・・・」と、お祈りする事になってしまいます。・・・・・・』
☆礼拝はいつどこで何をすることであるというインフォメーションレベルで理解していたのを問い返し、瞬間瞬間が永遠の神への愛を感じ信仰であるという意味を了解しているわけであるが、この「問い返し」の時間であふれているのがJGの特徴の一つなのであろう。
☆グローバリゼーションが叫ばれているが、多民族・多言語・多宗教・多文化を背負った人々とビジョンや意志を共有するには、インフォメーションを交換するだけでは上手くいかないだろう。JGの教育活動にあるように、インフォメーションの背景にある深層の意味を問い返す思考の共有がなければならないのである。それこそが桑原さん同様に世界標準の言語を活用できるということを意味しているのではあるまいか。
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