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かえつ有明の信念

☆『サンデー毎日』(2012年5月27日号)の特集 「わが子の学力を伸ばしてくれる私立中高一貫校」 において、かえつ有明は、「今春、早大・慶大合格者数が激増した主な私立校」として注目されている。

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☆記事にはこうある。

「かえつ有明はキャンパスを東京の湾岸部の有明北地区に移転し、同時に共学化した1期生が今年卒業した。いきなり早慶の合格者が前年度より14人も増えて19人合格と大きくアップした。同校のある豊洲地区は、新興住宅地として開拓され、子どもが多く中学受験では注目の場所だ。その通いやすい立地を生かして、さらに伸びていきそうだ。」

☆豊洲という地区は実に面白い立地条件である。北上すると勝ちどきを通って、歌舞伎座、銀座を抜けていくと皇居にぶつかるまでに、両ウインドに帝国ホテルとペニンシュラーホテルを見ながら通過できる。その向こうは国会議事堂。西を見れば、東急線沿線につながり、東にはディズニーランド、成田空港。

☆どう考えてもグローバルシティの要に位置しているのである。そしてそこから南を向けば太平洋である。私学人である福沢諭吉、新島襄、江原素六、新渡戸稲造、内村鑑三らがそこからかなたのアメリカの地にわたり、未来を抱いて帰国してきた地である。その私学人とともに語り合い、21世紀の女性像をすでに描いていた嘉悦孝がかえつ有明の創設者である。

☆しかもこの太平洋は、近代の夢を拓くゲートであるばかりではなく、近代の矛盾も幾度も私たちに問い投げてきた結界でもある。そのインタフェースの境界に立ち臨んだ創設者の信念を、今も理事長校長の嘉悦克先生は継承し、常にチャレンジしている。

☆だから、自分の学校の教育の質を向上するだけではなく、≪私学の系譜≫全体が盛り上がらねばならないと東京私立中高協会の先生方と様々なセミナーや研修をデザインしてきたし、している。

今春も中学入試と大学入試の真っ最中に、「サイエンス科」という独自教科を6年かけて教職員一丸となって研究してきた成果を、東京私学教育研究所の協力のもと、「東京私立中高等学校公開研究発表会」として開催。新しい学びとそれによる教育の質向上の成果を他の私立学校とシェアした。

☆そして6月、たいへん興味深い研修を2つも開催する予定なのだ。

☆一つ目は、≪特別調査研究会「ことばと教育を考える」公開講演会≫。

1.日   時   平成24年6月21日(木) 午後6時00分~8時00分

2.会   場     アルカディア市ヶ谷(私学会館)会議室

3.講   師    佐藤 信 氏 〔座・高円寺 芸術監督〕 

4.演   題    ことば・からだ・こころ ―― 演劇と教育の架橋

☆20世紀型教育は、客観的知性と国家道徳によって、実践理性や判断力は無意識の中に閉じ込められてきた。その無意識こそ身体性にほかならず、21世紀型教育は身体の延長上にある身体性という場の論理にシフトしていく。しかし、まだまだ身体性は、デュオニュソスというカオス神だと誤解されたまま。その証拠に大学入試に芸術教科が中心になることはない。

☆ところが、グローバリゼーションにおいて、昨日まで客観的だったものや国家道徳として制約されてきたものが相対化され、そのドグマは揺らぎ始めている。かえつ有明自身が、なぜ文武両道にこだわってきたのかは、国の教育行政の偏向主義に対し、ホールマン教育をという≪私学の系譜≫を継承してきたからにほかならない。

☆その精神を、かえつ校長は、特別調査研究会委員長として、自分の学校だけではなく、広く私学全体と共有しようとしているである。まさに共に生きる力を大切にしている私学人である。

☆そして、そのようなあくなき教育の挑戦は、自校ばかりか私学全体の教育の質をバージョンアップさせることにつながる。そこで、今度は教職員資質向上研修委員長として、「平成23年度 教育意識調査アンケート報告会」を開催するというのである。


1.日   時   平成24年6月25日(月) 18時00分~19時30分

2.会   場     アルカディア市ヶ谷(私学会館)会議室 

3.報告内容 「平成23年度 教育意識調査アンケートの分析と報告」

4.報 告 者 平成24年度 教育意識調査委員

☆ そして、この調査委員の一覧は次のように公表されている。

委員長 

嘉 悦 克 かえつ有明

副委員長

武 井 秀 行 かえつ有明

運営委員

清 水 広 幸 聖学院

伊 藤 和 彦 多摩大学付属聖ヶ丘委員

委員

石 川 真 弓 錦城学園高校

湯 原 和 則 頌栄女子学院

浦 田 浩 青山学院

中 村 理 栄 昭和第一高等学校

今 井 光太郎 かえつ有明

冨 永 光 成 安田学園

石 川 和 弘 大森学園高等学校

田 上 克 哉 日本工業大学駒場

村 中 智 東京立正

林 宏次 豊南 高等学校

橋 本 勉 工学院大附属

☆私立学校というのは、自分の学校で質を上げ、創意工夫をしているだけではないのだ。そのことを改めて実感しないではいられない布陣である。

☆それにしても、委員長が嘉悦校長ということもあってか、かえつ有明からは、武井先生と今井先生もメンバーになっている。どちらも学内でリーダーシップを発揮する役割を担っている先生方だ。学内外に≪私学の系譜≫の精神を広く深く浸透させようという嘉悦理事長校長の気概が伝わってくる活動である。

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