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IRを私立中高一貫校でも

☆昨日、中高の受験市場と非受験市場の両方をコンサル(実際には何でも屋であるのだが)しているメンバーの話を聴くチャンスがあった。ある学校のパンフレットを例に、広報がいかにメタ的な位置づけとなって、学校や教育の質を変えていくのかという納得のいく話題で、千鳥足になるまで飲んでしまったぐらいだ。

☆私立中高、そして大学までの広報、人材育成などのコンサルを行っているメンバーだから、広く深い見識、そして何より豊かなアイデアに、「なるほどですね」の連発だった。

☆この発想はどこからきているのかという、1960年ぐらいから、米国の大学が、エンロールメントマネージメントをデータ(といっても量的データばかりでなく、質的データも)を使って開発し、学問化したマネジメント学にそのルーツがあるようだ。

☆この発想に日本の大学がやっと気づいたのは、バブルがはじけて経済の空白と少子高齢化が重なってしまった1990年代である。米国や欧米では、すでに第4世代ぐらいの成長を遂げている分野だったが、グローバリゼーションによって日本の大学もやらざるをえなくなったわけだ。

☆このエンロールメントマネジメントでデータを活用する手法をIRと呼んでいるようだが、このIR担当部署を設置しているのは、まだまだ少なく、私立大学の30%ぐらいだという。立命館とか同志社とかはすぐに名前がでてきていたが、やはり集まる大学はそういう戦略を積極的におこなってきたのである。

☆ところで、このIRがうまく機能しないのではなぜなのか?それはデータの集計が結局偏差値ベースであるからなのだ。欧米ではこのスコアで集計するデータはない。では、どうするのだろうか?偏差値ではないデータとはいかなるものだろうか?

☆そんな話になったのであるが、このエンロールメントマネジメントやIRというのは、私立大学だけではなく、私立中高一貫校にも応用ができるということである。すでに集まったメンバーはその応用をメタ的位置づけの広報戦略として行っているのである。

☆しかしながら、発想は応用できるのだが、データをうまく使えない。先述したように偏差値ベースであるからだ。

☆つまり、ここにコンサルタントは新しいビジネスチャンスを見出している。エンロールメントマネジメントやIRの実践例を大学関係者ときちんと整理しているのはベネッセコーポレーションであるが、ベネッセには学校コンサルや教育コンサルの部隊はない。営業そのものがコンサルであるというスタイルをとっているのであろう。日本の教育の領域では、欧米のようなコンサル業務で利益を上げることができないからでもあろう。

☆ベネッセ以外にも、コンサル的な資質をもち、その役割を果たしている人材は、たくさんいるのだが、やはり本業は別にあって、それだけで企業として成立するかどうかは、まだまだ先の話だ。

☆しかし、その変わり目を創ろうとしている若い人材がこうして語り合っているのだから、おそらくそうなるのだろう。今後の私立中高一貫校は、彼らのような広く深い見識と、豊かなアイデアをもち、かつ突破力を有した若い人材をステークホルダーとして擁することができるかどうかにかかっている。ともあれメディアには表れない教育の質の創出活動が着々と進んでいるという実感を抱いたのである。

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