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変わる私立中高一貫校 新しい評価を探る

☆5月12日(土)、聖学院小会議室に、新しい学びを実践しているイノベーティブ・ティーチャー、教育関連産業のメンバーが集まった。新しい学びのコンセプトやグローバルな時代における教育の動向や心理学、哲学など大いに盛り上がった。新しい学びは、「シラバス―授業―テスト評価」というプログラムを形式知化するもので、これによって、多くの人と学びの共有や学びのスタンダードを形成でき、それゆえ、学びの多様な格差を是正できるデモクラシーが貫徹する。

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☆そういう意味で、学校や教科を越境して、新しい学びのプログラムづくりの協働が生まれているということは日本の教育の歴史上、意味のある活動ではないだろうか。

☆人間の条件として、アンナ・ハレントは「労働・仕事・活動」について言及しているが、日本のキャリア教育において、これら3つは分断されてバラバラである。

☆労働させる人労働させられる人、利益の枠内で仕事をさせる人仕事をさせられる人、そして活動となると、いったん労働も仕事も切り離し、趣味かボランティアか、ともあれ独立した時間を活用するしかないのである。

☆ワークバランスという物理的な時間配分はもちろん重要であるが、労働も仕事も活動も三位一体になれる環境は作れないものだろうか。

☆そんなことを常日頃思っているのだが、今回の「新しい評価研究会」で対話をしている先生方の姿には、その新しい雰囲気がただよっていた。

☆新しい学びを創出することによって、労働と仕事と活動はリンクし、それによって、させる人とさせられる人という関係から解放されるのではないかという期待を抱いた瞬間だった。

☆新しい学びは、生徒一人ひとりが、偏差値という他者から押し付けられた評価から解放され、自分の思考や判断の基準で自らの人生の道を切り拓いていくことをサポートする場である。

☆そして、それには自らの思考や判断の基準が、世界標準に太刀打ちできる、あるいはときには世界標準に変更を迫るパワーを持ったものでなくてはならない。偏差値などというモノサシははじめから、そういう場で役に立たないのである。

☆にもかかわらず、多様な格差という教育問題を発生し続けている日本固有の問題モノサシである偏差値に自縄自縛されているのが日本という学校化社会の現状である。

☆したがって、新しい学びを創出する以上、プログラムのうち授業展開部だけの創意工夫でおわり、評価になると途端に偏差値発想になったり、評価しない放置状態で終わったりしたのでは、もとの木阿弥である。評価部分も新しいアイデアが必要になる。

☆おそらくそんな思いでイノベーティブ・ティーチャーは話し合っていたのだろう。コンセプトやビジョンをある程度シェアできたら、新しい評価のモデルづくりに着手するといことである。今後がますます楽しみである。

当日参加メンバー)

佐野先生(西武学園文理・理科)

金井先生(西武学園文理・社会)

山田先生(かえつ有明・英語&サイエンス科)

本橋先生(聖学院・数学)

伊藤先生(聖学院・国語)

高橋先生(聖学院・英語)

児浦氏(ベネッセ)

本間(私立学校研究家)

「新しい評価研究会」アドバイザー)

清水先生(東京私学研究所所長)

平方先生(東京私立中高協会副会長)

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