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聖学院 知られざる実力を公開② 「思考力セミナー」

☆前回、聖学院の海外大学進学の成果を紹介した。これは同学院の実力の証明の1つであるが、本当の実力は、その成果を創出する教育の質であり、プロセスである。今回、同学院はその教育のプロセスを公開する。6月16日(土)の学校説明会で、小学校6年生20名を対象とするという。

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☆一般に、このようなプロセスは、教師1人ひとりのなせる業であり、生徒の問題であるから、プログラム化されることはほとんどない。しかし、聖学院では教師どうし授業についてシェアし、成長の発達段階に合わせたり促進したりするツールやプログラムを共有する対話が行われている。

☆なぜこのような共有が必要なのか?またなぜ多くの学校は、教師の業に任せられるのか?まず後者であるが、それは卒業の目的が国内の大学合格にあるからである。国内の大学の入試問題は、かりに小論文が出題されたとしても、結局は知識量の差で決まる。小論文の書き方から考え方までステレオタイプでよいのだから、それもまた知識に過ぎない。

☆ということは、出題されるものは、誰が教えても同じなのであるから、わざわざ時間のかかるミーティングなど不要なのである。そんな時間があったら、知識を覚えたりどのくらい記憶したのかをチェックしたりする独自プリントを作った方が良いのである。

☆これを合成の誤謬という。ミクロのことや目の前の話では一見正しいのだけれども、マクロの視点では正反対という事態のこと。マクロの視点とは、昨今ではグローバル人材という視点。ここでは、国内外の大学のどちらが良いという話ではなく、大前提として「思考力」が必要ということ。

☆しかし、国内の大学入試で活用される「思考力」はさほどのものではない。結局は、記憶力が勝負。すると、これを目標にしていたのでは、深い広い「思考力」は育たない。国内の大学は入学できたとしても、それではグローバルな世界では役に立たない。

☆だから、中高では、国内大学に合格することだけが目的ではなく、グローバル社会で通用する「思考力」を身につけておかねばならない。宇宙では乗組員たちには、筋肉トレーニングをするプログラムがある。地球にもどってきたとき、重力に耐えられる筋力を失わないためである。

☆国内大学のための入試の勉強は、宇宙の話に重なる。地球では意識していなかったものを、宇宙では意識してメニュー化しなければならない。それがプログラムである。もしこのプログラムがなければ、個人的に主観的にトレーニングをしてしまうため、筋力の維持ができる乗組員とそうでない乗組員が生まれてしまう。

☆つまり、国内大学に合格すればよいという勉強は、「思考力」のプログラムがないから、ある生徒は自分で身につけるが、ある生徒はそうでないということが起こっている。もちろん、日本の教育の情況は「ゆでがえる」状態だから、多くの生徒にとっては、本来はプログラムを創って覚醒し続けなければならない。

☆しかし、それができていない。「合成の誤謬」が広がっているのである。そこで、聖学院では、そのような教育の「ゆでがえる」状態から脱するための授業を展開している。聖学院の校務部長の平方先生は、「そのコアな部分を、入試問題が学校の顔であるならば、きちんと問いかけるのが本来的だと日頃から感じていたので、思い切って挑戦することにしたのです」と。

☆つまり、そのコアな部分を「思考力テスト」という新入試として公開しようというわけである。そしてそれはあまりに今までの受験勉強とは違うので、「思考力セミナー」で、ある程度練習ができるようにケアするということだろう。

☆サイトには、サンプル問題や思考のプロセスのイメージ図(途中から空欄になっていて、後は参加してのお楽しみとなっている)が載っている。これを見ただけで、授業がメカニズム化されていることが推察できる。

☆「思考力セミナー」の特色としては、次のようにポイントタッチで記載されている。 

 ①毎回教科が違うモチーフ(素材)を用意。
 ②モチーフが違っても、思考・論理・表現のプロセスは同じです。
 ③したがって、どのようなモチーフに出会っても、考えることができる能力を養えます。
 ④教科横断型とは、思考のプロセスがクロスカリキュラムとして機能する場合と互いにリンクし合う異分野のモチーフを扱う場合とがありますが、「思考力セミナー」で扱うのは「思考のプロセス」によるクロスカリキュラムです。
 ⑤「思考力セミナー」で学んだプロセスは、そのまま「思考力テスト」で活用されると同時に、国・算・社・理の問題を解くときにも、知識を記憶する時にも有効な学びです。
 ※「思考力セミナー」で記入したワークシートは、いったん回収し、チュータがアドバイス・メッセージなどを書き添えて、後日返却します。

☆※印に「チュータ」という言葉が登場している。平方先生によると、聖学院では、中学生の数学で「東大生フェロー」の講座が実施されているそうである。そして、その講座の東大生チューターも、「思考力セミナー」でサポートしてくれるそうだ。

☆日常知識だけで、特別な知識なしで「思考力」だけを問いかける問題。それゆえ、逆にすべての教科の問題を考えたり、知識を覚える方法を考案したりするときに大いに役立つのではないだろうか。

☆教科を横断する思考力。教師と東大生とのインターフェースが触発するプログラムのメカニズム。一体どのようなものだろう。実に興味深いではないか。

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