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高校留学支援盛況 都教委

☆読売新聞(2012年6月4日)によると、

これからの高校生は世界を目指す? 東京都立高校生の海外留学を支援するために、都教育委員会が今年度から開始する「次世代リーダー育成道場」に、定員の4倍以上の申し込みが寄せられている。応募したのは、定員150人に対し、5月25日の締め切りまでに642人。近年は高校生の留学希望者が減っていただけに、都教委は「こんなに応募があるとは思わなかった」と驚いている。
 都教委によると、留学には渡航費も含めて1年間で300万~400万円の費用が必要とされる。しかし、今回の事業を利用すれば、自己負担は25万~85万円で済み、家計状況によってはさらに減免する措置もある。また、各生徒の希望を聞きながら、都教委が留学先の仲介も行うという。

☆ただ、経済的支援をするだけではない。研修も行われる。

6月中に応募者に対する面接が行われ、150人の留学生が決定する。選ばれた高校生たちは7月からの6~8か月間、国内で英語による論文作成、発表方法などを学習。研修が終わる来年1月以降、短期の場合は1か月間、長期なら1年間、英語圏の米国やオーストラリアなど4か国の都市でホームステイをしながら現地の高校に通う。

☆が、しかしここで疑問?その研修の内容は、「英語による論文作成、発表方法などを学習」とあるからだ。エッ!留学のために今さらこのような研修をやるというのが恐ろしい。

☆学習指導要領の範囲内の話であるから、通常の授業の中で行われていることではないのか?言葉力重視の学習指導要領が始まったばかりだからしかたがないではなく、それ以前の、ゆとり教育においてもこのことは指導要領に含められてきたのではないのか?改訂学校教育法でもすでに定められてきたのではないか。高校からは創造教育をやるとあるはず。

☆このグローバルな時代にあって、高校留学を支援するという点に、都民として税金を使うことは、公平かどうかは依然議論の必要はあるかもしれないが、ハコモノなどのハード投資よりこのようなソフトに投資する方が妥当性はあると思う。

☆しかし、研修内容はもっと違うだろう。この研修内容は、通常の授業でやるべきものだ。そのうえで、高校留学決定者には、時代や各国の情報を整理し、未来をつくるためにどうすべきかインターナショナルスクールの生徒と議論するチャンスをつくったり、模擬国連の都教委盤をつくって、作業をさせるとか、ITの未来をかたるために、IT業界のリーダーたちと技術論と倫理の未来を語りあうとか、そのようなプログラムが望ましい。

☆まあ、そんなことはエイジェントがいくらでも考えるだろうから、放っておいてよいのかもしれないが、それよりなにより、普段の授業で、英語で小論文を書いて、英語でプレゼンすることぐらいは、公立学校でも行っておくべきではないか。もっとも私立学校であれば、すべてで行っているかと言うと、必ずしもそうではないが。

☆ともあれ、そういうと、正しい英語や正しい論文の書き方がわかっていないと忠言してくれる方が必ずでてくるが、グローバル市民時代に、英語で書いて、プレゼンする能力を身に着けるのは、生徒にとって学びの権利であり、そもそも何が正しいのかそのモノサシも議論していないのに、やらないことが前提になっているのは、実はデモクラティックではない発言や発想であるということに気づかねばならないだろう。

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